補聴器の購入費用は医療費控除の対象になるんです。
補聴器の購入時に医療費控除の申請をおこない、おさめた税金の内いくらが還付金として戻ってくるのか、知って得する補聴器の医療費控除申請についてわかりやすく解説しています。
ただし補聴器を購入したすべての方にお金が戻ってくるわけではありません。医療費控除の対象となる条件を満たした場合に医療費控除として認められるんです。
補聴器は厚生労働省の認可を受けた医療機器のため、確定申告で医療費控除の申請をすれば還付金が受けとれるメリットがあります。補聴器購入の出費は高額になる場合があるので、少しでも購入費用が戻ってくれば嬉しいですね。
補聴器の医療費控除とは
補聴器の医療費控除とは、補聴器の購入費用をその他の医療費と同じく確定申告、または還付申告をおこなうことによって払いすぎた税金の一部が戻ってくる制度です。
ご自身の医療費や補聴器の購入費用だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合にも、一定金額の所得控除を受けられます。
補聴器が医療費控除申請の対象になる場合
医療費控除の対象となる補聴器の購入費用についてご説明します。
病院へ行って診察を受けるとき、補聴器で聞こえを補わなければ医師の説明や診断を聞き取れないと医師が判断した場合に補聴器の購入費用が医療費控除の対象になるんです。
【参照】国税庁ホームページ
補聴器を装用しなくても医師の診察や説明を問題なく受けられると診断された方や、医療機器として認可を受けていない集音器などの購入費用は医療費控除の対象になりません。
そのほかにも医療費控除にあてはまる補聴器の条件として「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と記載があり、あまりに高価格すぎる補聴器は医療費控除の対象外となってしまうんです。
※高価格かどうかの基準となる金額は最終的に各税務署の判断になります。
補聴器の医療費控除申請のながれ
補聴器の購入費用を医療費控除として申請するまでのながれをご紹介します。
補聴器を購入する前におこなうことが医療費控除の対象になる条件ですのでご注意くださいね。
補聴器の購入前に「補聴器相談医」の診察をうけ「診療情報提供書(2018)」を記入してもらいます。
診察に補聴器が必要かを判定するのは耳鼻科医師ですが、どこの耳鼻科でも良いというわけではないんです。
補聴器相談医とは、難聴者が適切な補聴器をえらぶためにもうけられた資格です。補聴器相談医の資格をもつ耳鼻科医は全国で4,000人以上います。
まずは日本耳鼻咽喉科学会ホームページからお近くの補聴器相談医を探しましょう。
診察や検査をおこない補聴器が診察に必要であると補聴器相談医が判断すれば、診療情報提供書に記入してくれます。
「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」という項目にチェックを入れてもらうことが医療費控除をうけるために必要です。
診療情報提供書をもって認定補聴器専門店へいき、補聴器を購入しましょう。
補聴器相談医に記入してもらった診療情報提供書には、「認定補聴器専門店〇〇様・認定補聴器技能者△△様」というあて名の記載があります。
補聴器相談医は、提携している認定補聴器専門店と補聴器技能者にむけて診療情報提供書を作っているんですね。
記載された認定補聴器専門店で補聴器の試聴やレンタルをおこない、ピッタリあう補聴器をえらんで購入しましょう。
補聴器の購入時に診療情報提供書の写しと補聴器の領収書を補聴器販売店からうけとります。
補聴器を購入したときに領収書をかならず発行してもらい、診療情報提供書のうつしと一緒に保管しておきましょう。
税務署から診療情報提供書と領収書の提示を求められた場合は提出する必要がありますので、購入から5年間は保管しておきましょう。
確定申告で補聴器を医療費控除の対象として申請します。
確定申告時に必要な添付書類は下記になります。
・確定申告書
・医療費控除の明細書
・源泉徴収(原本のみ)
・マイナンバー
医療費控除の明細書に補聴器の購入金額を記入しましょう。
これにより補聴器の購入金額分も医療費控除として申請できます。
補聴器の医療費控除でもどる金額
補聴器の医療費控除でいくらもどってくるのか、ココがイチバン気になるポイントですよね。
医療費控除額は、次の式で計算します。
(医療費の合計額-保険金で補填された金額)-10万円またはその年の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%=医療費控除額
保険金で補填された金額とは、生命保険などで支給される入院給付金や、健康保険などで支給される高額医療費や家族療養費、出産育児一時金などがふくまれます。
ここで計算した医療費控除額に、所得におうじた所得税率をかけた金額が実際に還付金(※最大200万円まで)としてもどってきます。医療費控除額がおなじでも所得によって還付金の額が変わるんです。
所得ごとの税率は下記のとおりです。
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
1,950,000円以下 | 5% |
1,950,001円~3,300,000円 | 10% |
3,300,001円~6,950,000円 | 20% |
6,950,001円~9,000,000円 | 23% |
9,000,001円~18,000,000円 | 33% |
18,000,001円~40,000,000円 | 40% |
40,000,001円以上 | 45% |
年末調整では医療費控除の還付金申請はできませんので、会社員の方であっても確定申告をおこなう必要があります。
医療費控除の還付金はいつどこに支払われるか
医療費控除の還付金は、確定申告をおこなってから1~2ヶ月ほどで指定した口座に振り込み、もしくはゆうちょ銀行の各店舗や郵便局で直接受け取ることができます。
e-Taxで確定申告をおこなった場合は約3週間ほどで振り込まれるようですね。
課税所得が280万円の方の還付金額
例として課税所得280万円の方が20万円の補聴器を購入した場合の還付金額を計算してみましょう。
※支払った医療費が補聴器購入費用のみだった場合の金額です。
20万円(医療費)-10万円=10万円(医療費控除額)
10万円(医療費控除額)×10%(所得税率)=1万円(還付金額)
課税所得280万の方が20万円の補聴器を購入して医療費控除をおこなった場合、1万円が還付金としてもどってきます。
課税所得が200万円以下の方の還付金額
年間の課税所得が200万円未満の方は所得金額に5%をかけ、それを超えた医療費が医療費控除の対象となります。
課税所得が120万円の場合
120万円×5%=6万円
この場合は6万円を超えた医療費が医療費控除の対象となります。以下はその年の医療費が補聴器購入費用20万円のみだった場合の還付金額の計算です。
20万円(医療費)-6万円=14万円(医療費控除額)
14万円×5%(所得税率)=7千円(還付金額)
このような計算になり、7千円が還付金としてもどってくるんです。
医療費控除はきちんと申請すれば払いすぎた税金の一部がもどってくる制度ですので、できるだけ活用するために医療費控除の手順をきちんとおさえておきましょう。
医療費控除申請のポイント
- 補聴器の購入前に補聴器相談医の診察をうける
- 補聴器相談医に情報提供書の記入をしてもらう
- 指定された補聴器販売店で補聴器を購入
- 情報提供書の写しと補聴器の領収書を受けとり保管する
- 医療費控除の明細書に補聴器購入費用を記入し確定申告をおこなう
以上の5つが補聴器の医療費控除を確実におこなうためのポイントです。
補聴器の購入をお考えの方はしっかりと確認して医療費控除の申請ができるよう事前にチェックしておきましょう。
医療費控除にレンタル費用や電池・アクセサリーもふくまれる?
補聴器購入後の電池代やアクセサリー類は補聴器購入のための費用ではないため、医療費控除の対象にならないと考えられます。
補聴器購入前の試聴・レンタル費用は補聴器購入のために必要な出費ともいえそうですが、最終的には医療費控除を申請する各税務署の判断となりますので、不明な点は管轄の税務署へ問い合わせてみましょう。
補聴器の医療費控除Q&A
補聴器の医療費控除でよくある質問をまとめましたのでご参考ください。
Q.補聴器を購入したあとでも医療費控除はうけられる? A.補聴器の医療費控除に必要な診療情報提供書は補聴器購入まえでなければ発行されないため、かならず補聴器購入まえに耳鼻科へいきましょう。
Q.集音器の購入費用でも医療費控除はうけられる? A.集音器は補聴器とはちがい医療機器ではありませんので、医療費控除にふくまれません。
Q.片耳難聴でも医療費控除の対象になりますか? A.当店では過去に医療費控除として認められたケースがありますが、片耳難聴の場合は診察する医師の判断になります。
まとめ
補聴器の医療費控除についてご紹介しました。
補聴器の購入にかかる費用は高額になってしまう場合がありますので、医療費控除の申請で購入費用が一部でももどってくれば少しでも出費をおさえられますね。
補聴器を購入するさいの参考にして頂ければ幸いです。