感音難聴で片耳が聞こえない場合は、補聴器の必要、不必要はご自身で選んでしまっていいですよ。片耳が正常に聞こえても、片耳だけだと不便に感じることがあれば必要と考えて検討してもいいでしょう。
今回は合わせて感音難聴で片耳が聞こえない場合の補聴器の選び方も紹介していきますね。
補聴器を使用するかを決めるのは使う本人
生まれつきの感音難聴で、片耳は人並に聞こえるが、反対の耳は大きな音しか聞こえない。3歳くらいのころにおたふく風邪になってから片耳だけ聞こえなくなってしまったなど、片耳難聴になる理由は人それぞれ様々あれど、聞こえを何とか改善したいというのが、共通の悩みですね。片耳だけの生活に不便を感じて聴こえの改善のために補聴器を使うかどうか決めるのは、実際に使用するあなたです。
片耳難聴になってこのようなことで困っていれば補聴器は一度試してみるといいですね。
- 会話の聞き返し、聞き逃しがよくしてしまう
- 聴こえない側に立たれると会話の理解ができない
- 騒がしい場所では会話内容がわからないことが多い
一部ですが、このようなことで悩んでいて、コミュニケーションをもっと取れるようになりたいと感じていれば試す価値があります。
感音難聴で補聴器を使用する場合の補聴器選択のポイントはありますので、そちらを説明していきますね。
聴こえの仕組み
まず補聴器は、元にある聞こえを最大限生かすための医療機器です。ですから聞こえの仕組みを知ることが大切なので、簡単に説明していきます。
音は、耳で感じていると思いがちですが、耳で受けて最終的に脳が音を認識しています。仕組みはこうです。
音は耳介(皆さんが想像する耳のこと、耳の外側の部分)で音を集音されて、耳穴に入り、鼓膜まで届きます。
鼓膜は音をとらえて振動し、繋がっている中耳の耳小骨(3つの小さな骨)に伝達します。耳小骨では、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と3つの骨で振動をてこの原理で増幅し、内耳に伝えるのに効率的な大きさにして内耳の入り口である前庭窓に振動を伝えます。
前庭窓より先の内耳はリンパ液はあり、それに振動が伝わって波になります。そのまま蝸牛と呼ばれる部分にある有毛細胞に波が到達すると、電気信号に変換して、蝸牛神経につなぎます。
蝸牛神経からは、聴神経を介して脳まで繋がっています。電気信号が、脳の聴覚野まで伝わって初めて音を認識しています。
片耳での聞こえになると
片耳のみでいろいろな音を聞くとなると、聞き逃しや、騒がしいところでうまく聞こえないなどの状況に陥ってしまうのでしょうか。
耳自体は2つで1組の器官であり、両耳で効率的な聞こえを実現しています。両耳で聞くことで起こっている3つのことが片耳難聴の聞こえの悩みに関係しています。
- 両耳で聞くことで、左右それぞれの耳で同じ音を重複して聞き、情報の補完をしていること(音の重複)
- 雑音と音声の取捨選択をより確実にして、騒音下での言葉の聞き取りを向上させます。(カクテルパーティ効果、両耳スケルチ)
- 音の方向性の判断
このような聞こえの効率を上げる身体の仕組みが使えないが為に片耳難聴特有の悩みにつながっています。
難聴とは
音が脳までに伝わるいずれかの部分で異常が発生し、音が届きにくい状態が難聴です。
難聴には3つ種類があります。
- 伝音難聴(伝音性難聴)
- 感音難聴(感音性難聴)
- 混合性難聴
の3つがあり、音が伝わりづらくなる伝音性難聴、音を感じづらくなる感音性難聴、その両方の特徴がある混合性難聴です。
なお難聴に程度があり、4つに分類されます。
- 軽度難聴
- 中度難聴
- 高度難聴
- 重度難聴
の4つです。症状が重いほど会話が聞こえなくなりますね。軽度ではささやき声が聞こえず、中度では普通の会話でも聞こえにくくなり、高度では大きな声が耳元で話さないと聞こえなくなります。そして重度になると耳に直接叫んでかろうじて聞こえます。重度には聾といって全く聞こえない状態の人も含まれますので、全く聞こえない人もいます。
感音難聴とは
感音難聴とは、音を感じとる部分に異常が起こり発症します。主に耳の奥にある「蝸牛」の中にある「有毛細胞」が損傷したり、死滅してしまったり老化してしまったことによっておこる難聴の総称です。
基本的に内耳部分での異常で聞こえない場合を感音難聴といいます。音を感じなくなるということが補聴器選びでのポイントになります。
感音難聴での補聴器は難しさもある
感音難聴は音を感じる部分自体の異常ですから、補聴器を付けての改善もある程度の限界があります。
補聴器は聴こえの補助を行う機器ですので、残存している聴力を最大限生かしてくれるものです。わかりやすく言えば言葉の聞き取りやすいように音の質感を変えてと音量を増幅してくれる機械ですから、この音を感じることが難しい感音難聴は健聴の耳と同様まで改善するのは難しいことが多いのです。
しかし補聴器の選択によっては、この条件をクリアすることができるかもしれません。
片耳のみの感音難聴は難聴の程度で補聴器の選び方が異なる
片耳だけの感音難聴は、難聴の程度が重ければ重いほど通常の補聴器では効果がなくなってしまう可能性が高いです。
軽度~中度程度(30dB~60dB程度の難聴)であれば、普通の補聴器で対応していくことが可能になると予想できますが、高度以上(70dB以上)の難聴の場合は、通常の補聴器では対応が難しくなっていきます。
この場合は片耳難聴専用の特殊補聴器を選ぶのがいいですね。この片耳難聴専用の特殊補聴器は「クロス補聴器」といいます。
クロス補聴器とは
クロス補聴器は片耳が重度の難聴や、全く聞こえない聾でも聞こえる補聴器です。
いやさっき感音難聴は補聴器の効果がないと言っていたじゃないかとお思いの方もいらっしゃるでしょう。
クロス補聴器について説明していきます。
クロス補聴器は片耳難聴専用の補聴器ですが、両耳に補聴器をかけていただき行う特殊な補聴器フィッティングです。
難聴の耳は「クロス送信機」、健聴(聞こえる耳)には「補聴器」を使います。
仕組みは、難聴側の音を「クロス送信機」のマイクで集音して、電波で健聴側の「補聴器」に送り再生することで、難聴側の音をカバーする仕組みになります。なので、片耳が全く聞こえなかろうと関係がないのです。
なお健聴側の補聴器は、穴の開いた耳栓をしてつけてもらうので、いつもどおり聞こえる音に「今まではっきりと聞こえなかった難聴側の音」の音が混ざって聞こえます。
補聴器は購入前に必ず試し判断する
補聴器は購入前に試聴が可能です。感音難聴で補聴器を選ぶ場合にはまず補聴器の専門店に行って聴力の測定をして自分に合った音にした補聴器を試してみることをオススメします。
補聴器の効果が感じられるかは実際に試さないとわかりません。当然高度の感音難聴でも片耳補聴器のほうが効果があると感じることがありますし、中度でもクロス補聴器のほうがいいと感じる方もいます。
もちろんどちらの補聴器をかけても改善していないという人もいます。
試さないことには始まらないですよ!
片耳難聴が得意なリスニングラボにお任せください!
実は補聴器専門店でも、クロス補聴器は導入の例が年間2~3件あるかないかという特殊な補聴器です。
感音性の片耳難聴は、普通の補聴器で改善できればいいですが、クロス補聴器のやり方がわからなければ永遠に「補聴器は効果がない」だけで終わりにされてしまいます。
ですから片耳難聴でお困りの方は、クロス補聴器の経験も豊富なリスニングラボで是非ご相談ください。過去にも多くの片耳聾や、片耳で重度の感音難聴をお持ちの方がお店に訪れ相談頂いています。
リスニングラボでは、カウンセリング、聴力測定、補聴器の試聴までならば無料で体験ができます。さらに、実際の生活で使用してみたいという要望があれば、レンタルして持ち帰ることができます。
レンタルして実際の環境で使えれば、より明確に補聴器が必要かの判断ができると思います。
感音性難聴で片耳が聞こえないという方は是非ご相談ください。あなたに最適な補聴器を探すお手伝いをいたします!