片耳難聴で選ばれる骨伝導補聴器とクロス補聴器の違いを紹介します。どちらの補聴器も片耳難聴で装着する方の条件があえば有効となる補聴器ですが、それぞれ合う方合わない方がいらっしゃいます。補聴器を選ぶときによくあるご相談内容の1つとなっています。当サイトでは片耳難聴で有効な骨伝導補聴器とクロス補聴器の違いについて説明したいと思います。片耳難聴のタイプ別から対象となる方、メリットとデメリットや値段の相場など、これから片耳難聴で補聴器を購入しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
初めて補聴器をご利用の場合、わからないことばかりだと思います。補聴器は同じようなモノでも種類が多く、どれを選んでもよいという訳にはいきません。補聴器は聴力や耳の状態により種類が決まり、その中で性能と値段の違いがあります。何も知らずにどれも同じものだと思って通信販売などで買って効果がなかったという方も実際にいらっしゃいます。今回は難聴の中でも片耳難聴について、骨伝導補聴器とクロス補聴器どちらを選んだらいいかをわかりやすく紹介していきます。
ここからは、片耳難聴でよくある悩みについて紹介していきますね。
片耳難聴の悩み
片耳難聴になると日常生活でさまざまな悩みを持ちやすくなります。
- 音の方向がわからない
- 自分の位置を気にしなくてはいけない
- 騒がしい場所では聞きとりが難しく会話が楽しめない
- 複数で会話をするときに聞きづらい
- 聞こえないことでストレスになりやすい
- 聞き間違いや聞き返しが多くなる
- 症状をあまり理解してもらえない
悩みの多くは人とのコミュニケーションに関わることが多く、日々の生活の中でストレスを抱えてしまいやすくなります。
症状
片耳難聴の症状には片耳の聴力低下のほかに、めまいを引き起こすことや耳なりがおこることもあります。片耳難聴のタイプによってもその症状は変わりますが一番多いのは耳なりという印象がありますね。もし片耳が聞こえずらいなど感じたらすぐに病院で診察をうけるのがいいでしょう。
原因
片耳難聴になる原因としていくつかあり主な種類を紹介します。
- 突発性難聴
- ムンプス難聴
- 中耳炎
- 先天性難聴
- 外耳道閉鎖症
- 耳硬化症
これらが片耳難聴の原因となります。
治療と改善方法はあるか
片耳難聴は治療をすることで回復する可能性があります。特に中耳炎などは手術などの方法があり回復がおおいに見込めます。しかし突発性難聴やムンプス難聴などは明確な治療方法がまだなく、ステロイド剤の投与をおこない様子をみます。聴力が回復する可能性は低くすぐに治療を初めても回復しないおそれがあります。もし治療をしても難聴がなおらなければ補聴器を使う改善方法があります。片耳難聴でも高重度の場合には通常の補聴器ではあわせにくいですがクロス補聴器や骨伝導補聴器など改善できる補聴器があります。
ここからは、骨伝導補聴器とクロス補聴器のしくみについてわかりやすく紹介しますね。
骨伝導補聴器とクロス補聴器の仕組み
補聴器は通常のモノ以外に特殊な種類があります。その中でも有名なのが骨伝導補聴器とクロス補聴器です。この二つの機種は難聴であれば誰でも効果があるものではありません。選び方を間違えるとまったく改善効果はみられないでしょう。骨伝導補聴器とクロス補聴器のしくみとクロス補聴器のしくみがわかればあなたにあう補聴器もわかります。
骨伝導補聴器の仕組み
骨伝導補聴器の歴史は長く、補聴器以外にも音楽鑑賞用のイヤホンなどもありますね。骨伝導のしくみをカンタンに説明すると、骨伝導補聴器は頭の骨を振動させて直接音を感じ取る役割りをしている内耳に音をつたえます。そのために内耳以外の外耳と中耳に何か聞こえに影響する障がいが出ていても骨部から音を感じとれる神経に音をつたえることができます。
クロス補聴器の仕組み
クロス補聴器は補聴器ではなく厳密に言えば送信機です。聞こえるしくみはクロス補聴器を難聴のある耳につけ、受信機の役割りとなる補聴器を健康な耳につけます。そうすることでクロス補聴器と補聴器が連動して送受信することができます。難聴側(クロス補聴器)に入ってきた音を健康な耳(補聴器)につたえます。クロス補聴器一台では効果はなく補聴器と一緒に使うことで補聴効果があります。骨伝導とは違い、難聴のある耳には音は入らず、健康な耳で聞けます。
ここからは、クロス補聴器と骨伝導補聴器の適応するかしないかがすぐにわかるよう紹介していきますね。
片耳難聴で骨伝導補聴器に合う方と合わない方がいる
前途でも説明したように難聴でも種類によってあうあわないがあります。当然片耳難聴でも種類があり、骨伝導補聴器とクロス補聴器どちらがいいのか分かれます。難聴の中に伝音性難聴と感音性難聴、二つのタイプがあります。これは片耳難聴の中でもどちらかにわかれています。
骨伝導補聴器に合う方
骨伝導補聴器があうのは伝音性難聴の方にしか適応しません。伝音性難聴は耳の中の外耳と中耳に障がいが起こって発症する難聴です。外耳の役目は外の音を集めて中耳は外耳から入ってきた音を神経に送るんです。その為、この外耳と中耳に障がいが出ると音が聞こえにくくなってしまいます。片耳難聴の中でも中耳炎の方、耳硬化症、外耳道閉鎖症がこの伝音性に分類されます。結論は骨伝導補聴器があうのは伝音性の難聴であることが条件です。
このように聴力データでみると骨導値(コの字のマーク)が0dBから20dBに入っている人が骨伝導補聴器の使用が有効となります。
骨伝導補聴器に合わない方
骨伝導補聴器は伝音性であれば適応するのですが感音性難聴には適応しません。感音性難聴であればクロス補聴器が適応となります。感音性難聴は伝音性とは違い、外耳と中耳には何も影響はないですが中耳の奥にある内耳に障がいが起こることで起こります。内耳には音を感じとる神経があり、そこで感じた音を脳に伝えています。感音性難聴ではその役割が出来なくなってしまいます。ですので、内耳の神経に音を伝える骨伝導を使っても内耳に障がいが出ているので音を感じとることができません。
このように感音性難聴であれば伝音性難聴とは違い、骨導値が適応範囲外となります。
おもに突発性難聴、ムンプス難聴、先天性難聴などが感音性難聴です。
伝音性難聴で音声が理解できない
骨伝導補聴器は伝音性難聴にしか適応できないとお伝えしましたが、骨伝導補聴器を使用しても言葉の理解が難しい場合があります。幼少の頃に病院での治療をせずそのままにしていたり音をあまり聞かずにいるといざ音を入れてもそれが理解できないことがあるんです。
言葉を認識するには語音弁別(言葉の理解力)が大事です。言葉を覚える時期に聞かないままにしていたりすると骨伝導補聴器を使っても効果が出ないケースがあります。このような場合にもクロス補聴器は有効です。クロス補聴器は片耳が健康であれば難聴側の聞きとりを補うことができます。
ここからは、骨伝導補聴器とクロス補聴器のタイプについて紹介しますね。
骨伝導補聴器とクロス補聴器の種類
骨伝導補聴器とクロス補聴器にはいくつか種類があります。補聴器メーカーによっても扱いがあったり無かったりしますので知っておくのがいいでしょう。種類により特徴が違うので参考にしてみてください。
骨伝導補聴器のタイプ
メガネ型骨伝導補聴器
メガネの形状をした成人用のタイプです。使用できるメガネフレームは多少限られてしまいます。メガネの知識も必要となるためどこの補聴器店でも調整や点検をすることができません。
カチューシャ型骨伝導補聴器
子供用として使われるカチューシャタイプです。両サイドに補聴器の効果がありますが片耳だけに使用することも可能です。最近ではあまり見かけないモデルです。
骨伝導補聴器はメガネ型とカチューシャ型にわかれ、成人であればメガネ型、子供にはカチューシャ型と決まっています。通常の補聴器とはまったく違い、大きいですね。補聴器のフィッティング方法も通常とは異なるので補聴器店の中でも調整できないお店も多いです。今骨伝導補聴器を取り扱うおもな補聴器メーカーはコルチトーン、スターキー、リオネットなどです。近年リオンでは補聴器と同形状の軟骨伝導補聴器を世界初で開発しています。
クロス補聴器のタイプ
耳かけ型RICタイプ
耳にかけて使用するタイプです。目立ちにくい形状なのでつけやすいです。機能性が高く、音量調整などがカンタンにできます。もし片耳の聴力が変化したときにもレシーバーの交換ができたり買い替えをしなくても対応しやすいです。
耳あな型タイプ
耳あなに入れてつかうタイプです。比較的まったくの健康な耳にはあまりオススメできません。耳あなをふさぐ形となるので自然な補聴効果が薄れてしまいます。耳あな型が向いている方は片耳難聴ですが、もう片耳も難聴がある方です。主にバイクロス向きとなります。
クロス補聴器のタイプは通常の補聴器と見た目は変わりません。クロス補聴器は国内ではPhonak(フォナック)、Signia(シグニア)、Widex(ワイデックス)から販売されています。フォナックのみ耳あな型での販売があります。片耳難聴では主に耳かけ型を使用するのがオススメです。
ここからは、骨伝導補聴器とクロス補聴器の価格相場を紹介していきますね。
骨伝導補聴器とクロス補聴器の価格相場の比較
補聴器の価格相場はピンからキリまでありますね。価格の相場を知ることができればより補聴器を選びやすくなりますね。まず骨伝導補聴器の価格相場ですが180,000円から200,000円ほどとなっていますね。高価になると400,000円ほどのモノもあります。価格帯では通常の補聴器とそこまで変わりはありません。一方クロス補聴器ですが、片耳難聴でもクロス補聴器と受信側の補聴器と二台必要になるので価格は少し高価になりやすいです。補聴器側の性能により価格帯は変わりますが、主に相場ではセットで250,000円から350,000円までがよく選ばれている機種の価格相場となります。
ここからは、骨伝導補聴器のメリットやデメリットについて紹介しますね。
骨伝導補聴器のメリット
骨伝導補聴器のメリットは聞こえの改善以外にも耳に入れないので快適性が高いトコロです。一般の補聴器の装用方法は耳の中に本体を入れるので閉塞感があったり自分の声に違和感がでやすかったりします。おもにメガネ型の骨伝導補聴器はそれらがなく、補聴器と比べて聞こえの快適性が少し高くなります。
デメリット
- 締め付けが痛く感じることがある
- 破損の心配がある
メガネ型特有のデメリットですが骨導子を適切な位置に合わせなければいけないのでかけていると痛みが出てくることがあります。締め付け具合では耳の裏がへこむこともあります。そしてメガネ型なので補聴器店でも調整やメンテナンスをしてくれるお店も少ないのもデメリットですね。あとは通常の補聴器と比べてメガネで大きいので保持面が心配です。経験としてお子様に壊された方もいらっしゃいました。子供用のカチューシャタイプはメガネがかけづらいなどのデメリットがあります。
ここからは、クロス補聴器のメリットとデメリットについて紹介しますね。
クロス補聴器のメリット
クロス補聴器のメリットは片耳難聴ならではの自分の位置を気にしなくてもいいことや、聞こえの範囲の広がり、聞き逃しや聞き間違いの改善など数多くあります。補聴器のサイズも目立ちにくくなっているので自然につけることができます。
デメリット
- 音の方向感がわかりにくいことがある
- 騒音下では聞きとりが難しいことがある
- 電池の寿命が短い
クロス補聴器のおもなデメリットとして電池の使用時間が短いことです。二台が常に通信するのでその分電池の消費が早くなります。あとは片耳に音を入れるので音の方向感がつかみにくいことがあります。しかし、クロス補聴器はメリットの方が強いのでデメリットはあまり気にならないかもしれません。
まとめ
片耳難聴に有効な骨伝導補聴器とクロス補聴器の違いについて紹介しました。骨伝導補聴器は最近ではほとんど見かけなくなりましたが、片耳難聴でも伝音性の場合には使うことができます。片耳難聴ではほとんどのケースが感音性難聴でクロス補聴器の適応がもっとも考えられます。
補聴器のしくみと適応するかどうかわかればより選びやすくなりますね。補聴器の違いを知って最適な機種を選ぶことができれば聞こえの世界が広がりますよ。