片耳難聴でお悩みの方にとって、クロス補聴器は生活の質を大きく向上させる可能性を秘めた補聴システムです。今回は、クロス補聴器の特徴やメリット、一般的な補聴器との違いについてくわしく解説します。

実は最近、片耳が全く聞こえなくなっちゃって…😭 補聴器を探しているんだけど、どんな補聴器が自分に合っているんだろう?

そうだったのね💦片耳難聴の人には、クロス補聴器っていう専用のものがあるみたいだよ✨
普通の補聴器とは違って、片耳難聴の人のために作られているの!

クロス補聴器?初めて聞いた!😲 でも、普通の補聴器と何が違うんだろう?どんなメリットがあるのかな?

まずは一緒にネットでくわしく調べてみよう💡 きっと、たろうくんにぴったりの情報が見つかるはず!

クロス補聴器とは

クロス補聴器(CROS = Contralateral Routing of Signal)は、片耳難聴や聴力の左右差が大きい方のために開発された特殊な補聴システムです。先天性難聴、突発性難聴、ムンプス難聴(おたふく風邪)などで片耳の聴力が低下している方に特に効果的です。
基本的な仕組み
クロス補聴器の仕組みは一般的な補聴器とは根本的に異なります。
- 聞こえない側の耳にクロス補聴器(送信機)を装着
- 聞こえる側の耳に補聴器(受信機)を装着
- クロス補聴器が聞こえない側の音を拾い、ワイヤレスで補聴器に送信
- 補聴器から聞こえる側の耳に音を届ける
このシステムにより、聞こえない側からの音も聞こえる耳で聞くことができるようになります。

一般補聴器との違い
クロス補聴器と一般的な補聴器には、いくつかの重要な違いがあります。
仕組みの違い
- 一般補聴器
難聴がある耳の聞こえを増幅して、同じ耳で聞く - クロス補聴器
聞こえない耳で拾った音を聞こえる耳に転送する
装用方法の違い
- 一般補聴器
難聴のある耳に装着 - クロス補聴器
必ず両耳に装着(送信機と受信機)
対象者の違い
- 一般補聴器
両耳または片耳の難聴を補聴 - クロス補聴器
片耳が特に聞こえにくい一側性難聴者向け
音の出力
- 一般補聴器
装着した耳に直接音を出力 - クロス補聴器
クロス補聴器自体は音を出さず、補聴器のみが音を出力
クロス補聴器のメリット
クロス補聴器を使用することで、片耳難聴の方には多くのメリットがあります。
360度の音環境を体験できる
聞こえない側からの音も聞こえるようになるため、周囲の音を全方向から感知できるようになります。これにより、日常生活での安全性が大きく向上します。
- 車や自転車が近づいてくる音に気づける
- 呼びかけや警告音に反応できる
- 公共交通機関でのアナウンスや警報に気づける
複数人との会話がスムーズに
グループでの会話や会議など、複数の人が話す場面でも全体の会話の流れを把握しやすくなります。
- 聞こえない側にいる人の発言も聞き取れるようになる
- 座る位置や立ち位置を気にせず会話を楽しめる
聞き取りやすさの向上
クロス補聴器は単に音を大きくするだけでなく、聞き取りやすさを全体的に向上させます。
- 雑音抑制機能により、周囲の雑音を抑えつつ必要な音声を明瞭に伝える
- デジタル信号処理技術により、クリアで自然な音質を実現
- 言葉の明瞭度が向上し、コミュニケーションがスムーズに
精神的ストレスの軽減
片耳難聴による精神的なストレスも軽減されることが多いです。
- 会話時に聞き返す回数が減り、自信を持ってコミュニケーションが取れる
- 常に聞こうと神経を集中させる必要がなくなり、疲労感が軽減
- 社会活動や趣味の活動により積極的に参加できるようになる

クロス補聴器のデメリット
メリットがある一方で、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
音の方向感覚が認識しづらい
たとえば右耳が聞こえ、左耳が聞こえない場合、左側からの音も右耳から入ってくるため、音がどちらの方向から来たのかが認識しづらくなります。
電池の消費が早い
聞こえない方の音を聞こえる方の補聴器に送り続けるため、常に通信しあった状態になります。そのため、通常の補聴器よりも電池の消耗は早くなります。
両耳装用とコスト
クロス補聴器システムは両方の耳に装置を装着する必要があるため、コスト面での負担が増える場合があります。
- クロス補聴器(送信機)の価格はおおむね11~18万円前後
- 受信機として使用する補聴器も別途必要となる
クロス補聴器の種類
クロス補聴器には主に2つのシステムがあります。聞こえの良い耳に、難聴があるかどうかで選択が変わります。
CROSシステム
片耳の聴力が正常で、反対側の耳に高度な難聴がある方向けのシステムです。
- 難聴側に送信機を装着し、健聴側に受信機を装着
- 健聴側の耳で両方の音を聞くことができる
BiCROSシステム
両耳に難聴がある方向けのシステムです。
- 聞こえの良い方の耳に補聴器を装着
- 難聴が重い耳にクロス送信機を装着
- より多くの音情報を集めることで豊かな聞こえを実現
まとめ:自分にあった補聴システムを

クロス補聴器は片耳難聴の方にとって、新しい聞こえの世界を開く可能性を秘めています。360度の音環境を体験できる、複数人との会話がスムーズになる、精神的ストレスが軽減されるなど、様々なメリットがあります。
一般的な補聴器との最大の違いは、音を同じ耳で聞くのではなく、聞こえない耳から聞こえる耳へ音を転送する点にあります。これにより、片耳難聴の方も全方向からの音を捉えることができるようになります。
購入を検討される際は、クロス補聴器と受信機(補聴器)をあわせた費用を考慮し、ご自身のライフスタイルにあったクロス補聴器を選ぶことが重要です。また、購入前には試聴やレンタルをして効果を確認することをおすすめします。
クロス補聴器は、たんなる聞こえの改善だけでなく、生活の質全体を向上させる可能性があります。片耳難聴でお悩みのかたは、ぜひ一度、補聴器専門店にご相談ください!