充電式補聴器はあります。昔は使用時間が短かったり、本体が大きかったりしたのですが、最近の充電式補聴器は、耳かけ型になってコンパクトになり長時間使用が可能です。
電池交換の手間が省けるだけじゃない充電式補聴器について価格やメリットも合わせて紹介しますね。
「どのメーカーの充電式補聴器がいいの?」
「充電式補聴器と従来の補聴器の違いはあるのかな?」
「充電式補聴器はいくら位するのだろう。」
このようなことをお考えの方はこのブログを読んでみてください。
電池交換は苦手という人、面倒という人が多い
補聴器は空気電池を利用した機器で、電池交換はつきものでした。しかし電池交換は苦手という人や面倒と感じている人が多いんです。
このような理由からですね
- 電池自体が小さく交換が難しい
- 交換頻度が思っているより早い
- 表裏を間違えて電池ロッカーを壊したことがある
補聴器自体の小型化しているので、高齢の方にとって交換しづらいこともあったり、7~14日くらいでの電池交換が煩わしく感じる人は少なくありません。
若い年齢の方からすると充電できる製品に慣れていることもあって、交換が無くて手間の少ない充電式補聴器が登場しました。
充電式と空気電池式の性能の違いはない!
最近の充電式補聴器は、空気電池式補聴器とほぼ中身の性能は変わらず、聞こえさせる力も同等です。使用できる時間も、フル充電で約24~26時間連続使用できる製品がほとんどですので、安心してください。手間のなさや安心感など、好みで選んでいただいていいかなというのが率直なところです。
充電式補聴器のメリット・デメリット
充電式補聴器のメリット
- 電池交換の必要がない(電池寿命の場合は除く)
- 電池のごみが出ない
- エコである
- 電池を探したり買ったりする手間がない
まず電池交換のわずらわしさがありません。手先が不器用でも心配ないし、電池交換に時間を取られなくていいですね。電池交換で向きを間違えて壊してしまうこともありません。電池のごみもでないので、ゴミがたまるたびに電池を持ち込みしたりしなくていいですし、電池が無くて困ってしまうことはありません。当然電池のごみが出ないですし、充電池を交換してもほとんどがリサイクルされるのでエコです。残量のチェックや、使用期限を気にする必要、電池の予備をたくさん用意しておく必要もありません。
充電式補聴器のデメリット
- 充電し忘れると使えない
- 出先での電池の心配
充電し忘れてしまうと、当然のことながら使用できません。電池交換ができないので充電を忘れてしまうと使えない状態が出てしまいます。
充電しても時間が短かった時には出先で電池が切れないか心配になってしまいますね。
最新の充電式補聴器はデメリットが減らす工夫をしている
最新の充電式補聴器は、充電式ゆえのデメリットも減らせるように工夫がされています。
- 急速充電で少しの充電でも長時間使用できるようにしている
- 空気電池と充電池が併用できるような仕組みになっている
- 出先で充電できるように充電バッテリ―付きのケースも販売されている
このように充電式補聴器で心配が減るようにできています。では現在販売されているメーカーを紹介していきますね。
充電式補聴器は現在4メーカーから出ている
充電式補聴器は現在4メーカーから出ています。スイス製の「フォナック(Phonak)」、ドイツ製の「シグニア(Signia)」、アメリカ製の「ベルトーン」スイス製の「ユニトロン」です。
それぞれの充電式補聴器としての特徴の違いを説明しますね。
フォナック オーデオB-R・ボレロB-PR
- 本体組み込み型の接触方式充電(チタン接点)
- リチウムイオン電池 30分充電で6時間使用 3時間充電で24時間使用可能
- 形状はRIC型と耳かけ型の2種類
- 電池寿命は3~4年または充電回数1500回
- 電池の保護回路が付いている
- 価格は片耳320,000円~580,000円
- 電池の交換は片耳20,000円
シグニア セリオン
- 本体組み込み型の非接触方式充電
- リチウムイオン電池 30分充電で7時間使用 4時間充電で26時間使用可能
- 形状はRIC型のみ
- 電池寿命は2年
- 価格は片耳403,200円~553,200円
- 電池の交換は片耳40,000円
ベルトーン レジェンド 63DW-R
- 空気電池、充電池併用可能のハイブリット型、接触方式充電(マグネットガイド)
- 銀亜鉛二次充電池 5~6時間充電で24時間使用可能
- 形状はRIC型のみ
- 電池寿命が1年または充電回数400回
- 価格は223,200円~533,200円
- 以前にレジェンド17.9.6のRIC型(63DW)を購入した場合も、専用の電池ロッカーと充電池に交換するだけで充電式に変更できる。
- レジェンド63DWから充電式にする場合は両耳セットで55,000円、片耳なら40,000円で変更可能
- 電池交換は6000円 電池ロッカーは20,000円
ユニトロン Moxi Fit-R
- 空気電池、充電池併用可能のハイブリット型、接触方式充電(マグネットガイド)
- Zパワー(銀亜鉛二次充電池) 5~6時間充電で24時間使用可能
- 形状はRIC型のみ
- 電池ロッカーを交換するだけで充電式に変更できるので、対応した機種を以前に購入した場合も使用可能
- 電池寿命が1年または充電回数400回
- 価格は191,200円~523,200円
以上4つのメーカーから充電式補聴器が出ています。
電池と充電方式の違い
電池の違いと充電方式の違いで得意なことが変わってきます。
充電方式
- 接触式
充電器と本体の接点が接することで充電が可能、物理的に接触することで充電するので給電が確実に行える。接点が腐食しやすい素材の場合は取扱に注意が必要。 - 非接触式
充電池と本体内部に取り付けられた給電パッドが一定の距離に近づくと給電される、物理的に接触しないが、給電範囲であれば確実に充電できる。接点の腐食などの心配はないが、給電が不安定になりやすい
このような違いがあります。
接触方式は充電が確実に行える分しっかり接していないと充電されませんし、端子の腐食などが怖いですね。フォナックはチタン製接点なので腐食の心配はなし、ベルトーンは交換可能な電池ロッカーなので充電しづらくなったら交換できます。
非接触式は充電の不安定さはあるものの、接点の腐食などがなく、本体に組み込みやすいのも特徴です。シグニアでは充電器本体に充電されているか確認しやすい充電インジケータを付けて充電の状態を見れます。
電地の違い
- リチウムイオン電池
大容量、電力が高く(3~4Vほど)、放電時の電圧も変動が少ない、充放電の回数も1,000回程度、使い切らずに充電すると容量が減ってしまう「メモリー効果」がない、急速充電が可能 - 銀亜鉛二次電池
容量は比較的多い、電力が1.55Vで放電時の電圧変動が少ない、電池残炉量が少なくなると電圧が不安定になる。充電回数は400回程度 放電時にデンドライトが発生するので充電回数が限られる。
フォナックは、リチウムイオン電池の保護回路設計をしており、充電回数は1500回、変圧回路も組み込まれているので電圧の変動がほぼありません。
シグニアは、リチウム電池使用を使用しています。変圧しているので電源は安定していますが、保護回路はなし、充電回数は非公開。
ベルトーン・ユニトロンは銀亜鉛二次電池を使用したZパワーというシステムを使っていて、安価で、今まで使っていた補聴器にも付けられるのが特徴です。充電回数は400回まで専用の電池ロッカーを使用しますが、空気電池を併用できます。電池の特性上充電量が少ないと挙動が少し安定しない可能性があります。
メーカー別充電補聴器の比較
今回はリスニングラボで取り扱っている、フォナック、シーメンス・シグニア、ベルトーンのRIC型充電補聴器で機能の比較していきましょう。
フォナックはオーデオB90-R シーメンス・シグニアはセリオン プライマックス7 ベルトーンはレジェンド17 63DW-Rで比較します。
いずれもメーカーの上位機種です。
価格
- フォナック オーデオB90-R 580,000円(本体568,000円+充電器12,000円)
- シグニア セリオン・プライマックス7 553,200円(本体510,000円+充電器43,200円)
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R 533,200円(本体490,000+充電器43,200円)
最高値はフォナック、最安値はベルトーンですね。
信号処理チャンネル数
- フォナック オーデオB90-R 64ch (周波数の設定ができるのは20ch)
- シグニア セリオン・プライマックス7 48ch(周波数の設定ができるのは20ch)
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R 48ch (周波数の設定ができるのは17ch)
チャンネルが多いと、信号と雑音の処理が緻密になり、より聞き分けしやすい音になります。
プログラムメモリー数
- フォナック オーデオB90-R あり 自動プログラム1つ 手動プログラム5つ
- シグニア セリオン・プライマックス7 あり 手動プログラム6つ
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R あり 手動プログラム 4つ
自動環境認識
- フォナック オーデオB90-R あり オートセンスOS
0.4秒ごとの環境音分析で7種類の騒音パターン設定から自動選択しブレンド。200以上のパターン設定から雑音を抑えて聞き取りやすい最適な音を選択してくれる
(出力レベル、指向性・会話強調機能、雑音抑制、突発抑制、風切り音の抑制が連動し自動可変) - シグニア セリオン・プライマックス7 なし
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R あり パーソナルサウンドID・サウンドシーンバランサー
周辺の音声を感知し、前後左右の音に対して指向性の自動調整・7つパターンに分けた出力の自動切換と雑音抑制の強弱を調整
指向性・会話強調機能
- フォナック オーデオB90-R あり
無指向性・リアルイヤー・ウルトラビーム指向性・ステレオズームが自動環境認識と連動している。360度指向性モードのみ手動プログラム追加が必要 - シグニア セリオン・プライマックス7 あり
無指向、アダプティブ、ビーム指向性、360度指向性を事前に設定しておく必要あり - ベルトーン レジェンド17 63DW-R あり
クロスリンク指向性が自動環境認識と連動して360度指向を持つ。ビーム指向性
雑音抑制・突発音抑制・風切り音の抑制
- フォナック オーデオB90-R すべてあり 自動で作動。抑制の程度は自動可変
- シグニア セリオン・プライマックス7 すべてあり 自動で作動するが、事前に設定した任意の設定がかかる
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R 雑音抑制、風切り音の抑制あり 雑音抑制のみ自動可変
スマホとの連携
- フォナック オーデオB90-R 中継器が必要
- シグニア セリオン・プライマックス7 本体のみで可能
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R 本体のみで可能
Tコイル、ワイヤレス通信
- フォナック オーデオB90-R Tコイルなし ワイヤレス通信は中継器が必要
- シグニア セリオン・プライマックス7 Tコイルあり、ワイヤレス通信は中継器が必要
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R Tコイルあり ワイヤレス通信も本体のみで可能
防水防塵性能
- フォナック オーデオB90-R IP68(粉塵は入らず、30分水に入っていても壊れない)
- シグニア セリオン・プライマックス7 IP68(粉塵は入らず、30分水に入っていても壊れない)
- ベルトーン レジェンド17 63DW-R 記載なし
フォナック製もシ-メンス・シグニア製も完全に密閉されたデザインになっていて防水性能は最高水準です。
ベルトーンは充電池と空気電池が併用できるように電池ロッカー開閉できてが密閉されていません。防水性能は非常に低いと思ってください。
それぞれにいいところ、使いやすさがある
性能だけでなく、それぞれに使いやすさがあります。
フォナックは「手間のいらなさ」「会話の取りやすさ」が特徴ですね。電源を入れて耳にかけるだけで後はうるさい環境にいても、静かな環境にいても補聴器がすべて判断してそれぞれの環境で楽な音や、聞き取りやすい音にしてくれます。3メーカー比較しても雑音がある中での会話は聞こえやすいですね。
補聴器の充電ケースの工夫もされていて、7回フル充電できる予備バッテリーを着けられて出先で充電できたり、乾燥材が入れられるので、ケースに入れ替えて乾燥させることもありません。充電も短時間で、手間がないシンプルな使い勝手の補聴器です。
シーメンス・シグニアは「手軽さ」「対応範囲の広さ」ですね。充電は時間当たりの充電量が多く、充電ケースに置くだけで楽に充電できますし、完全密閉筐体で防水はばっちりです。スマホとの連携が可能で、音量の調整や、プログラムの切り替えが可能でお手軽です。対応しているレシーバーが多いので、聴力に対して細かな出力調整ができて対応する幅が広いのが特徴です。静かなところでの聞こえが得意で、小さな音に対する感度が高いのも特徴ですね。
ベルトーンは「安心」「低価格」「ワイヤレス」ですね。空気電池と充電池が併用できるシステムなので、電池が切れてしまった際も電池のストックがあれば交換して充電できること、以前に購入した補聴器でも、充電池に対応した補聴器に電池ロッカーと充電池を購入して取り付ければ充電式補聴器としてつかえます。導入コストが少なく充電式補聴器を使うことができるのも特徴ですね。そしてなんといってもワイヤレス機能に優れるのがベルトーンのいいところですね。スマホとの連携をしてプログラム変更、音量変更ができますし、首掛けの中継器を使わないでワイヤレス機器と接続できる点は非常に便利です。
まとめ
それぞれのメーカーにそれぞれの利点があります。手軽さ、便利さが補聴器の業界の中でも確認されているので、今後多くのメーカーで充電できる補聴器が出てくることでしょうし、値段もだんだんと安くなっていくことでしょう。
あなたの生活スタイルに合った充電式補聴器を選択してみてください。充電式補聴器のほとんどは補聴器の煩わしさを解決するため作っているので、煩わしくて補聴器を着けていないという人にもぜひ試してもらいたいですね