こんにちは!秋葉原補聴器リスニングラボのハヤシです。今日は、多くの方から質問をいただく「フォナック・ロジャーと補聴器の違い」について詳しくご説明したいと思います。
補聴器をお使いの方で、「騒がしい場所では会話が聞き取りにくい」「離れた場所からの声が聞こえない」といった経験をされたことはありませんか?そんな補聴器だけでは対応しきれない状況を改善してくれるのが、フォナックの「ロジャー」システムです。
最新の「ロジャー3」シリーズは、さらに進化して快適に便利に使用できます。このブログでは、ロジャーと補聴器の違い、ロジャーがなぜ聞こえを向上させるのか、そして具体的な使用シーンについて詳しくご紹介します。補聴器をお使いの方はもちろん、これから補聴器の購入を検討されている方にも役立つ情報をお届けします!

補聴器とロジャーの基本的な違い

補聴器は耳に装着して音を拾い、増幅して聞こえを助ける機器です。一方、ロジャーは「デジタルワイヤレス補聴援助システム」と呼ばれ、補聴器と併用することで、より快適な聞こえを実現するためのシステムです。
補聴器の限界とは?
補聴器は聞こえをサポートする医療機器ですが、以下のような状況では限界があります。
- 騒がしい環境
レストランやショッピングモールなど、周囲の雑音が多い場所 - 音が反響する場所
体育館やホールなど、音が反響する空間 - 話し手との距離が離れている場合
講演会や会議など、話し手が離れている状況
これらの環境では、補聴器のマイクが周囲の環境音(雑音)も拾ってしまうため、肝心な会話が聞き取りにくくなってしまいます。
ロジャーはどう違うのか?
ロジャーは、このような補聴器の弱点を補うために開発されたシステムです。
具体的には
- 送信機(ロジャーマイクロホン)が話し手の声を集音
- デジタル無線で補聴器に直接音声を届ける
- 周囲の環境や話し手との距離に関わらずクリアな音声を届ける
つまり、ロジャーは「補聴器の弱点を補う第三の耳」として機能し、騒音下や離れた場所からの声も明瞭に聞こえるようにサポートしてくれる機器なんです!
ロジャーが聞こえを向上させる理由
ロジャーがなぜ補聴器だけの使用と比べて聞こえを向上させるのか、その技術的な理由を見ていきましょう。
デジタル処理技術の進化
ロジャーの最大の特徴は、デジタル処理技術にあります。従来のFMシステムではアナログ処理だったのに対し、ロジャーではデジタル処理が可能になりました。
これにより
- マイクに入り込んだ騒音自体をデジタル処理で取り除く
- 音質が向上
- 混線しにくくなる
騒音下での聞こえ改善効果
補聴器は、話し手との距離や周囲の雑音の影響を受けやすく、特に飲食店や教室、会議などの騒音下では言葉が聞き取りにくくなります。
ロジャーは話し手の近くで声を集音し、無線で直接補聴器や人工内耳にクリアな音声を届けるため、雑音や距離の影響を最小限に抑えます。騒音下でも安心して会話を楽しむことができますね。
マルチビームテクノロジー
ロジャーのマルチビームテクノロジーは、複数のマイクロホンで360度全方位からの音声を同時に集音し、各方向の雑音と聞きたい声の比率を瞬時に計算します。そして、聞きたい声の方向のマイクを自動的に選択し、話し手の声を補聴器や人工内耳にクリアに届けます。
この技術により、騒がしい環境やグループ会話でも、どの方向から発せられる声も聞き逃しません!
ロジャー3シリーズの特徴と種類
最新のロジャー3シリーズには、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは主な製品をご紹介します。
ロジャー オン 3

ロジャー オン 3は、最も汎用性の高いワイヤレスマイクです。使用シーンに合わせて自動または手動で切り替えられる多彩なマイクモードが搭載されています。
- テーブルモード
机の上に置くと自動的にテーブルモードとなり、机を囲む複数の話者の声を自動で検出し、明瞭に補聴器へ届けます。 - インタビューモード
本体を手に持って話し手に向けると、その方向の声を集中的に集音します。側方の雑音を抑え、特定の話者に集中したい場面で有効です。 - ワイドインタビューモード
従来より広い範囲を3次元的に集音できる新機能です。複数人が立って話し合う場面やパネルディスカッションなど、前方の広い範囲の声をクリアに届けます。 - プレゼンターモード
付属クリップで衣服に装着したり、ストラップをつけて首から下げると、装着者の声を優先的に集音します。講演や発表、会議の司会など、話者が1人で距離が離れているときに有効です。
ロジャー セレクト 3

ロジャーセレクト3は、騒音下の会話やグループでの会話で、補聴器ユーザーの聞こえを大きく向上させます。
- 卓上モード
テーブルの上に置くと自動でこのモードとなり、360度全方向から話者の声を自動で検出・集音します。複数人の会話でも話し手を自動で切り替え、グループ会話に最適です。 - セレクトモード
本体上部のタッチエリアを指で選択することで、特定の方向の話者の声だけを集中的に集音できます。騒がしい場所や特定の相手の声を聞きたいときに便利です。 - 首かけモード
付属のストラップで首にかけて使うと、胸元のマイクとして1対1の会話に最適化されます。加速度センサーが動きを検知し、話し手の口元に自動で指向性を向けます。
ロジャー テーブルマイク 3

ロジャーテーブルマイク3は、会議やグループディスカッションなど複数人が参加する場面に特化した卓上型ワイヤレスマイクロホンです。
- 卓上モード
テーブルの上に設置すると自動的に卓上モードとなり、複数人の会話でも話し手が変わるたびに自動で集音方向を切り替えます。 - 集音範囲切替(リモコン操作)
付属のリモコンで集音範囲を「広域」または「狭域」に切り替えられ、会議規模や状況に応じて最適な設定が可能です。 - ミュートモード
リモコンや本体ボタンで一時的にマイクをミュートにでき、会議の休憩や不要な音を拾いたくないときに便利です。
ロジャー タッチスクリーンマイク 3

ロジャータッチスクリーンマイク3は、教育現場や会議などで活躍する直感的な操作性と多機能性を備えたワイヤレスマイクです。
- 自動モード
本体の位置や使い方に応じて「首かけモード」「小グループモード」「インタビューモード」に自動で切り替わります。 - 首かけモード
首から下げて使うと、話者の声を集中的に集音し、補聴器や人工内耳へ直接届けます。 - 小グループモード
テーブル中央などに置くと、周囲の複数話者の声を自動で検出・集音し、グループディスカッションに最適です。 - インタビューモード
本体を手に持ち、話者に向けることで、特定の方向の声を集中的に集音します。
ロジャーの受信方法
ロジャーを使用するには、送信機(マイク)だけでなく、受信機も必要です。受信方法には主に以下の2つがあります。
1. ロジャーダイレクト機能
最新のフォナック補聴器(インフィニオ、ルミティ、パラダイス、マーベル)には、「ロジャーダイレクト」機能が搭載されています:
- 外部受信機不要で、ロジャーマイクロホンからの音声を補聴器が直接受信
- ロジャーとペアリング設定することで利用可能
- 装着の手間がなく、見た目もスッキリ
2. 従来の受信機タイプ
ロジャーダイレクト機能がない補聴器の場合は、以下のような受信機を使用します。
- 一体型受信機を利用する場合
フォナック補聴器や一部の人工内耳には、専用の一体型ロジャー受信機を直接装着できます。マイクと受信機を10cm以内に近づけ、ペアリングボタンを押すことで接続が完了します。 - ロジャーXを利用する場合
他メーカーの補聴器や人工内耳の場合、オーディオシューやアダプターにロジャーX受信機を装着し、同様にマイクと受信機を近づけてペアリングします。 - ロジャーネックループを利用する場合
Tコイル対応補聴器や人工内耳の場合は、ロジャーネックループを首にかけ、補聴器をTモードに切り替えて使用します。ロジャーマイクロホンとロジャーネックループを近づけてペアリングを行います。
ロジャーが特に効果を発揮するシーン

ロジャーは様々なシーンで活躍しますが、とくに以下のような状況で効果を発揮します。
レストランや騒がしい場所での会話
レストランやカフェなどの騒がしい場所では、周囲の雑音が会話の妨げに…
- テーブルの中央にロジャーを置くだけで、周囲の会話をクリアに聞き取り可能
- マルチビームテクノロジーにより、話している人の方向の音を優先的に拾う
- 周囲の雑音を抑えながら、会話に集中できる
会議や講演会
会議室や講演会場など、話し手が離れている場所では…
- 話し手にロジャーマイクを装着してもらうことで、離れた場所からでも明瞭に聞こえる
- 複数のロジャーマイクを使用することで、複数の話者の声も聞き取りやすく
教育現場での活用
お子さまの学習環境では、ロジャーが大きな効果を発揮します!
- 座席に関係なく、先生の声が補聴器にクリアに届く
- 教室のテレビやパソコン、タブレットとも接続可能
- 言語発達や学習効果の向上に貢献
オンライン会議やテレビ視聴
デジタル時代の新しい活用法として…
- ヘッドセットモードでオンライン会議に快適に参加
- テレビの音声を直接補聴器に届けることで、家族と同じ音量でテレビを楽しめる
- スマートフォンとのBluetooth接続も可能(ロジャー セレクト 3)
年齢別におすすめのロジャー製品
ロジャーは年齢や使用環境に合わせて最適な製品を選ぶことが大切です。
乳幼児向け
言語獲得期にある乳幼児には
- ロジャー オン 3がおすすめ
- 保護者がいつでも使いやすい
- しっかりとことばを耳に入れる環境づくりをサポート
幼児~小学生向け
騒がしい環境で過ごすことが多い幼稚園児や小学生には
- ロジャー タッチスクリーン マイクがおすすめ
- 学校で先生が使いやすいディスプレイ付き
- 多くの教育現場で利用されている遠距離対応マイク
中学~大学生
行動範囲が広がるティーンエイジャーには
- ロジャー オン 3がおすすめ
- 手軽な使用感で自分が聞きたいことばを自分で取りにいける
- 友達との外出など様々なシーンで活用可能
社会人・シニア向け
仕事や日常生活の様々なシーンで活用できます
- ロジャー オン 3:多機能で汎用性が高い
- ロジャー セレクト 3:会議やグループでの会話に最適
- ロジャー テーブルマイク 3:大きな会議テーブルでの使用に最適
ロジャーと補聴器の組み合わせ効果
ロジャーと補聴器を組み合わせることで、それぞれの長所を活かした最適な聞こえ環境を作ることができます。
補聴器の選択とロジャーの相性
最新のフォナック補聴器「インフィニオ」シリーズは、ロジャーとの相性が特に良いんです
- ロジャーダイレクト機能が標準搭載
- オーデオ、ナイーダ、スカイなど、全モデルで利用可能
- 外部受信機不要でスマートな使用感
聞こえの合理的配慮としてのロジャー
2024年4月の改正障害者差別解消法施行により、企業による合理的配慮の提供も義務化されました。
- ロジャーは合理的配慮によって音環境を改善するソリューションとして推奨
- 国内外の教育機関や企業で活用されている
- 会議の情報保障ツールとしても効果的
ロジャー導入のステップと費用
ロジャーの導入を検討される方のために、購入の流れと費用についてご説明します。
ロジャー購入の流れ
フォナック補聴器、ロジャー製品の取り扱いがある補聴器店で、ご相談ください。お使いの補聴器もご持参くださいね。
まずは店舗で試聴してみてください。ロジャーを使ったとき、使っていないときの聞こえを比べたり、ロジャーのモードも切替えて試してみるといいですね。
当店では、補聴器だけでなく、ロジャー製品のレンタルもおこなっています。2週間無料でお貸出していますので、実際の生活の中で効果を試してみてください。
試聴やレンタルをしていただき、聞こえに納得いただいてからご購入の手続きを進めていきます。※お渡しまで1~3日、納期がかかります。

機種選択のポイント
ロジャー製品も種類が多くて迷ってしまいますよね。目的や使用環境に合わせた機種選択が大切です。
- 主に使用する環境(家庭、職場、学校など)
- 予算
- 使いやすさや携帯性
- 既存の補聴器との互換性
費用の目安
送信機
- ロジャー オン3:209,000円
- ロジャー セレクト3:209,000円
- ロジャー テーブルマイク3:209,000円
- ロジャー タッチスクリーン マイク3:209,000円
- ロジャー パスアラウンド マイク:85,800円
受信機
- ロジャー エックス:101,200円
- ロジャー ネックループ:77,000円
医療費控除や補助金制度を利用できる場合もありますので、くわしくは補聴器専門店にご相談ください。
まとめ:ロジャーで広がる聞こえの世界

フォナック・ロジャーは、補聴器だけでは対応しきれない「騒がしい環境」「音が反響する場所」「話し手が離れている状況」での聞こえをサポートする革新的なシステムです。
年齢や使用環境に合わせて最適な製品を選ぶことで、お子さまの言語発達から社会人の会議参加、シニア世代の日常生活まで、幅広いシーンで活躍します。
補聴器をお使いの方はもちろん、これから補聴器の購入を検討されている方も、ぜひロジャーという選択肢を視野に入れてみてください。聞こえの世界が大きく広がることで、コミュニケーションの質が向上しますよ。
秋葉原補聴器リスニングラボでは、お客さま一人ひとりに合った補聴器とロジャーシステムのご提案をしております。お気軽にご相談ください。