イヤホン(ヘッドホン)難聴では補聴器が必要になると選び方に少し気を遣わなければいけません。最低限抑えておくべき購入のポイントは最大音量の制限ができ、音質の調整ができるものですね。
補聴器は値段が幅広くありますが、簡易的なものから本格的な使用を考えたものまであります今回はイヤホン難聴に向いている補聴器の選び方を伝授いたします。
イヤホン難聴とは?
イヤホン難聴は、イヤホンやヘッドホンなどを利用したことで起こる難聴のことを指します。(一昔前はヘッドホン難聴とかウォークマン難聴なんてもいいましたね。)
本当の難聴名は、「音響外傷(騒音性難聴)」といいます。
音響外傷は瞬間的なものすごく大きな音(発砲音や爆発音)や、習慣的または長時間に大きな音を浴びること(工場の騒音など)があると、音のエネルギーによって耳に負荷が掛かり、耳の奥の「蝸牛」と呼ばれる部分にある音を感知するセンサーの「有毛細胞」が損傷したり、減少してしまい起こる感音難聴の一つです。
ですからイヤホン難聴の原因は「長時間にわたり大きな音で音楽鑑賞をする」そして「習慣的に音楽を聞く」ということが条件があることになります。
裏をかえせば適正な音量や、長時間の音楽鑑賞を避けることでリスクが少なくなるので、節度を持てば音楽を聴いてはいけないということではありません。
イヤホン難聴を防ぐ方法についてはこちらから→イヤホンやヘッドホンで難聴にならないために
イヤホン難聴の特徴
イヤホン難聴の特徴は
- 耳が詰まったような感覚、めまい
- 両耳又は片耳の聞こえの低下
- 耳鳴り
このような症状がみられます。
イヤホンやヘッドホンで再生する音は低い音(低域)の音のエネルギーが多くなるため、低い音が聞こえにくい難聴になるのが特徴的と言えるでしょう。水に入ったときのようなこもった聴こえになります。両耳同時に聞こえが悪いこともあれば、片耳だけ悪くなることもあります。個人差がありますが、細胞の弱い耳から先に症状が出始める為、片耳の発症が多いとされます。
そして聴力の低下に伴い、耳鳴りも発生します。キーンという高い音の耳鳴りから、ゴーという低い耳鳴りまで様々起こります。比較的耳鳴りは前兆症状として発生することが多いので、最近耳鳴りが多いと感じたら病院に一度かかるといいですね。そのほかに症状が重いとめまいの症状が出ることもあります。
イヤホン難聴になって困ること
イヤホン難聴になって困ることといえば
- 会話で聞き間違えや聞き逃しが増える
- そもそも大きな音でないと会話も音楽も聞こえない
- すこし離れたところで声を掛けられても気が付かない
- 騒がしい場所では会話がうまく聞こえない
- テレビの音量が大きいと家族に注意される
このようなことが、症状が深まるごとに聞こえの悩みが増えていきます。
イヤホン難聴は治療できるのか
結論から言えばイヤホン難聴は、すこし聞こえづらい、耳鳴りが一日続いているなど些細な変化を感じたら病院にすぐに向かい治療を受けましょう。
発見が遅れると治療が困難になっていることが多いです。治療が困難な場合は補聴器に頼ることになりますが、補聴器利用前には難聴の症状や診断を必ず病院や耳鼻科にて先生に見てもらうことをお勧めします。
イヤホン難聴での補聴器の選び方
イヤホン難聴では、感音難聴の特徴があるため、以下のことが考えられます
- 大きな音にしないと聞こえないが大きすぎると嫌な感じが強い
- 低い音が特に聞こえづらい
このようなことを考慮して補聴器を選ぶと補聴器の選び方は非常に楽になります。
ポイント1 出力制限ができるノンリニア補聴器を選ぶ
大きな音に過敏になってしまうことの多い感音難聴では、出力の制限がなく際限なく音が大きくなってしまう補聴器では、補聴器として声を聞くということよりも、周りの音が大きくなりすぎることに不快感を覚えたり、「これ以上耳が悪くなるのでは…」という不安が大きくなってしまいます。
出力制限ができる補聴器ですと、本人の不快感を覚える音量をしっかり把握しておけばそこまでに達さないようにすることができます。
そしてできればノンリニア補聴器という音の大きさを大きく3つに分類して適正な音量で再生できる補聴器を選ぶといいですね。
ノンリニア補聴器では、80dBの大きな声、65dBの普通の会話音量、50dBの小さな声の3つに分けて音量の増幅ができます。80dBの大きな音はそこまで大きくせず、普通、小さな声の会話は大きくすることができます。
耳への負荷も考えて調整できますので、出力制限装置付きのノンリニア補聴器を選びましょう。
ポイント2 雑音抑制がしっかり効き、音質の調整ができる補聴器
雑音抑制と音質の調整は、イヤホン難聴では必要に感じることが非常に多いですね。
雑音抑制(ノイズキャンセル)は、会話音以外の周りの音を逆の位相の音で音を消してしまいます。
そうすることで会話音を強調できて、聞き取りやすくします。騒がしい中では音量を大きくしないと会話がきこえないということを少しでも減らすためにこの機能は合ったほうが無難です。
さらに補聴器には音質を事細かに調整できる補聴器があります。
低い音が聞こえにくくなる特徴的な難聴ですので、低い音に合わせて調整していく必要があります。実は市販品で販売されている補聴器のほとんどは高い音を中心とした音作りの補聴器なので、イヤホン難聴の場合は、補聴器専門店で売っている音質調整ができる本格的な補聴器が必要になります。
ポイント3 補聴器の形状も気にしてみる
補聴器には、大まかに耳あな型、標準耳かけ型、RIC型と3つの種類があります。
結論から言えば、イヤホン難聴には基本的に標準耳かけ型か、耳あな型がお勧めです。
標準耳かけ型
標準耳かけ型(パワー耳かけ型)は、いわゆる皆さんが想像する補聴器のことですね。耳の上にかける補聴器で透明のチューブで音を耳まで届けます。
この補聴器は低い音が増幅しやすいという特徴があるので、イヤホン難聴には向いているとされます。
さらに、耳型を採って作るオーダーメイドの耳栓を着けることで、さらに低い音をクリアでしっかり届けることができます。
耳あな型
耳あな型補聴器は、耳の型を採って作るオーダーメイドの補聴器です。耳の穴にすっぽり収まるものから、耳のくぼみに収まるものまで形状の大きさはさまざまあります。
耳あなをしっかり埋めるので、比較的低い音を確保でき、イヤホン難聴初期では、目立たないサイズで製作することもできるのでお勧めしやすいです。
聴力によってはちいさいサイズが製作できないこともあるのでよく相談する必要があります。耳を塞ぐサイズが大きい形状ほど低域の雑音から影響を受けづらく、きこえの効果が出やすいです。
以上が耳あな型と耳かけ型をお勧めする理由です。
RIC型は本体が小さいということの利点はありますが、比較的高い音が得意な補聴器ですので、試してみてきこえが良ければこちらでもいいと思います。
補聴器選びのポイントまとめ
イヤホン難聴での補聴器選びのポイントは
- 出力制限付きのノンリニア補聴器
- 雑音が抑制できて音質調整して低い音が出せる補聴器
- 形状は耳あな型か耳かけ型がオススメ
以上のポイントを抑えていただけるとイヤホン難聴でもしっかりとした補聴器を選ぶことができるでしょう。
補聴器の値段について
イヤホン難聴で利用することのできる補聴器のポイントがわかったところで、ポイントに沿った補聴器を選定していくと補聴器の大体の価格帯が決まってきます。
今まで上げたポイントを抑えると、補聴器専門店で販売している6万円ほどのモデルから考えるといいですね。
通販で売られている補聴器は、「簡易補聴器」ですのでいくら高価でもあなたにしっかりあった音質へ調整ができないので気を付けましょう。
- 家の中でよく使うという方は6~15万円(片耳の値段)
- 家の中、外や仕事場で使う機会が半々の方は、20万円(片耳)~
- 外でよく使う方は、35万円~50万円(片耳)
高価な補聴器ほど、雑音をより効果的に抑えたり、外で使う際に効果的な使い方ができる機能が搭載されています。また、補聴器を使っていく上で、刺激的に感じてしまう、突発的な大きい音を減らしてくれたり、使っていく上でのストレスを軽減でき、便利な補聴器になっていきます。
オススメの補聴器
オススメできる補聴器をこれから紹介していきます。
今回は比較的音に癖が少なく、扱いやすいフォナックから紹介していきます。
軽~中度のイヤホン難聴向け
フォナックバートV30-nano M
価格:片耳18万円(非課税)
軽度のイヤホン難聴には耳あな型で小さめのものをお勧めします。
目立たないかつ、耳をしっかり埋めるので低域もしっかり聴こえますし、鼓膜までの距離が近いので音質もよく、集音の仕方も実際の耳に近いので音質面では違和感が少ないと思います。
デメリットは自分の声が響きやすいことです。慣れるまでは違和感が強いですので注意しましょう。あとは耳垢が柔らかい、水っぽいなどすると故障しやすいですので事前にしっかり確認しましょう。
フォナックボレロB50 MまたはP
価格:25万円(非課税)
軽中度難聴であれば、耳かけ型も便利になってきますね。
耳かけ型は、耳あな型よりもボリュームコントロールや、プログラムスイッチ、電池容量に余裕があるという点でお勧めがしやすいです。
また耳あかが柔らかい、多い、水っぽいなどする場合も耳かけ型のほうがお勧めです。
ボレロBの場合は、防水補聴器になるので雨が降っても大丈夫です。
高度~重度のイヤホン難聴向け
ナイーダV50SP(UP)
価格:片耳23万円(非課税)
高度~重度のイヤホン難聴には、ハイパワー耳かけ型を利用します。
出力が大きくなってくることもあって、イヤーモールドというオーダーメイドの耳栓を作って使用することで低下しやすい低い音を逃さず聞かせることができます。
耳あな型でも対応している補聴器はありますが、マイクと音の出口の距離が近く出力が大きくなりやすいので、ピーピー、キーキーなるハウリングが起こりやすいためマスクと眼鏡を同時に使うことが多い職種でない限りは耳かけ型を用意することがお勧めです。
低い音が聞こえにくいほど耳かけ型のほうが対応しやすくなります。ので聴力と見合わせながら選んでいくといいでしょう。
今回はフォナックで紹介しましたが、他のブランドでもいいと思います。低域が得意でどっしりとした音ならオーティコンの補聴器もお勧めできますし、比較的柔らかめの音がいいならワイデックスがいいですね。
フォナックは高い音が綺麗にでる自然な音が特徴で、言葉をはっきり聞きたい人や、初めての人に手に取りやすい音になると思います。
イヤホン難聴で補聴器なら一度レンタルしてみよう
イヤホン難聴で補聴器を使えるかは、正直わかりません。
音が大きくなりすぎて、不快感が強かったり疲れやすいこともあるし、機種によっては問題なく使うことができたり、使用してみての感覚が大切になることもあります。
加えて職場などの環境や実際の生活で使用してみての使えるか判断することも必要になると思います。
ですので、もし補聴器の購入を考えているのでしたら、一度レンタルして補聴器を借りてみるのがいいですね。
秋葉原補聴器リスニングラボでは、1週間500円でのレンタルを行っています。
お店で聴力測定をし、調整した補聴器を試聴して、補聴器をもっと試したいという要望があればレンタルすることができます。
実際に試聴レンタルできるのは、耳かけ型が基本になります。
耳あな型はオーダーメイドなので製作をする必要がありますので同じ性能の耳かけ型を利用して試してもらいます。
試してから購入することがオススメですし、試せないお店であればお店を変えたほうが無難ですよ。
概ねレンタルは1週間から3週間程度を目安に借りてみましょう。
初めの一週間で効果がうまく出なくても、続けて使用することで少しずつきこえが改善することもありますし、調整して合わせていくこともできます。
一日一日変化を記録しておくこともしておくと、購入の判断がしやすくなったり、調整のポイントになることがあるのです。
まとめ
イヤホン難聴向けの補聴器は出力制限付きのノンリニアの補聴器で耳かけ型か耳あな型を選びましょう。雑音抑制の性能は高価なほど向上していきますが、用途に合わせてモデルを選ぶことで補聴器の選択がぐんとしやすくなります。
最終的には補聴器を実際に着けて使用できるかが一番大切ですので、補聴器をレンタルするのがお勧めですよ~
イヤホン難聴で会話がうまくいかないと感じていれば、補聴器を着けることで改善できるかもしれません。
仕事や、私生活で悩みがあればぜひ相談してください。