あなたの片耳が突然聴こえなくなったらどうしますか?
毎日を過ごしていると思いもしないことですが、突然難聴になってしまうというのは十分にあり得ることです。
私も友人が体験して大変苦労していました。そんなお話です。
眠りから覚めた瞬間片耳が聞こえない?突発性難聴
それは数年前のことでした。
R君「最近右耳が聞こえ辛いんですよね。」
私が以前働いていた職場で働いていたR君は、深刻な顔で話してきました。
以前の職場はコンシューマー向けの音響製品を扱う会社だったので、音を聴くことがとても大事な職場でした。
「本当に?急いで病院行ってきたほうがいいよ。何か予兆なかったの?」
R君「最近すこし耳鳴りがしていたのと、眩暈結構続くときもありますけど、疲れているだけだと思います。仕事も今は抜けられないのですし。」
「とにかく仕事のことはいいから、急いで病院にいってきなよR君の上司には伝えてくから。」
私は、別部署の後輩であるR君とは、趣味が高じて仲良くしていました。
新しい事業を始める関係で彼の部署は忙しく、真面目な性格の彼は仕事をなかなか抜けて病院にという考えにならず、日々働いていたのでした。
翌日R君から連絡がきました。
R君「症状を聴く限りではメニエール病という病気かもしれないみたいで、まだ確定ではないけど、しっかり治療するためにも今の職はやめたほうがいいといわれました。」
電話越しに彼はものすごく落ち込んだ声で話していました。
彼は仕事からくる慢性的な疲れや、ストレスがたたって自律神経失調症とメニエール病を発症していまったようなのです。
数日後メニエール病との診断があり、静養が必要になり完治までどれだけかかるかわからないとのことで、彼は故郷に帰ることを選択し退職しました。
耳が聞こえなくなってから日が浅かったのが幸いして、今は完治し、社会復帰もしたようなのですが、いまでもあの時の彼の今にも泣きだしそうな声は忘れられません。
突発性難聴は誰にでも起きる
先程のメニエール病ですが、原因としては内リンパ水腫(内耳のリンパが増え、水ぶくれの状態になること)ですが、ストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などが発症に関連しているといわれます。
おもに低音域が聴こえづらくなるのが特徴です。反復する長時間の眩暈を伴い耳が詰まったような症状がある場合は該当することが多いそうです。
ストレスが過度にかかってしまうことの多い現代社会においては発症のリスクが低いとは言えない病気かもしれませんね。
この他にもいろいろな要因があって突発性難聴が起こる場合があります。
- 内耳にウイルスが入ってしまい発生する場合(おたふく風邪やはしかのウイルスが原因とも)
- 内耳循環障害によって発生する場合(なんらかの原因で内耳の毛細血管に血栓ができ神経がマヒする)
- 音響外傷性(爆発音や、大音量の音楽など大きな音による蝸牛の損傷)
以上があります。
実際のところ突発性難聴は詳細な原因がわからないことが多い難聴です。
突発性難聴は誰にでも発症の可能性があり、主に片耳での難聴が発生することが多いそうです。
突然聴こえなくなることで大きな恐怖心に駆られてしまい絶望してしまったりするのですが、発症してすぐであればまだ希望はあります。
治療に関して
ウイルス性、内耳循環障害型など感音性難聴のほとんどは発症から一週間以内で治療を始めると65%ほどの確立で回復が見込めるそうです。
突発性難聴はステロイド剤や血管拡張剤・ビタミン剤・代謝を高める薬剤・血液を固まりにくくする薬剤・抗ウイルス薬等の投薬治療などを主に行います。
他にも高気圧酸素療法、頸部の神経に局所麻酔剤を注射する星状神経節ブロックなどがあります。
メニエール病は利尿剤、ビタミン剤や血流改善剤の投薬を行います。
場合によっては内リンパ嚢解放手術を行い症状を回復させることも考えられます。
ともかく早めの治療開始が望ましいので少しでも症状を感じたら耳鼻科にて受診してください。
回復せず難聴になってしまった場合は補聴器を検討する。
前著したように7割程度が早期発見、治療で回復が見込める突発性難聴ですが、回復せず聴力が下がってしまうということは十分にありえます。
また片耳のみ聞こえなくなってしまったなど、難聴になってしまった場合は、補聴器店にて相談して、補聴器の装用を検討してください。
最近の補聴器は目立たないほど小型で性能が良いものが多くなりました。画像のように耳の後ろに配置された本体部分が髪の毛で隠れてしまうほど小さいものも登場しています。実際見えているのはケーブル部分のみがしっかりと確認できますね。
装用していただいた方にお伺いしてもさほど気にならないとの声もいただきます。
聴力が下がってしまってから放っておいてしまうと言語把握の能力が下がり、聞き間違いが増えたり、会話がうまくできなくなったり、コミュニケーションの能力が下がってしまいます。
早期の装用で現存する能力は残すことや、能力低下を抑えることができますので、早めの相談が大事です。
片耳難聴にはクロス補聴器が有効
一側耳難聴(片耳難聴)の場合は、今まで両耳で聴いていた音が片耳だけの情報に頼ることになってしまうため、今まで何気なく出来ていた会話で困ってしまうこともあります。
集団での会話がうまくいかなかったり、雑音環境下での会話が難しくなったり、非常に集中力が必要になりストレスに感じてしまうことが多いようです。
一側耳難聴には補聴器の装用も検討していただけますが、フォナックから販売されているフォナッククロス補聴器が便利になる場合があります。
クロス補聴器は聴こえない難聴側の音声のみをクロス送信機から健聴側に装着した補聴器に送り音声を聞き取るという方法です。
健聴側の聴力が正常の場合は、オープン耳栓で外の音を聴かせながら難聴側の音声を聴くことができます。
なお右耳が全く聞こえず、左耳は軽度難聴の場合は、調整すれば左耳の補聴も行いながら、右耳の音声を受信して聞き取ることができます。(バイクロス)
クロス補聴器は片耳が聴こえなくて困っている方に効果がある補聴器です。
会話の聞き取りが大きく改善されることもありますので、ぜひ一度試してみてください。
当店でもクロス補聴器のデモご用意しております。レンタルも可能です。
お気軽にお問い合わせください。
最後に
突発性難聴になり、片耳、両耳の聴力が低下したり、失われてしまうということはあり得ないということはありえません。
突発性難聴の症状が出てしまった時には適切に対処できると、聴力を失う確率が下がります。
聴力を失ってしまっていても、絶望せず補聴器で少しでも聴くということを補助できればいいと私も考えてます。
もし突発性難聴で聴力を失ってしまった方がいらっしゃいましたら、リスニングラボにあなたの聴こえのお手伝いをさせてください。
Phonakの補聴器、クロス補聴器、Rogerのレンタルも行っております。