こんにちは!秋葉原補聴器リスニングラボのハヤシです。今日は、多くの難聴者の方々が日常生活で抱える悩みと、最新の補聴援助システム「フォナック・ロジャー3」がどのように悩みを解決できるかについてお話しします。
難聴は見た目ではわかりにくい障がいのため、周囲の理解を得ることが難しく、日々のコミュニケーションに様々な困難をもたらします。それでも、適切なサポートと最新技術を活用することで、より快適に生活を送ることができるんです。
2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、企業や学校などでの合理的配慮の提供が義務化されました。この流れを受けて、補聴器だけでは聞き取りが難しい場面でのソリューションとして、フォナックのロジャーシリーズが注目を集めています。
それでは、難聴者の方々が抱える具体的な悩みと、ロジャー3シリーズを活用した解決例を見ていきましょう!

難聴者が抱える5つの主な悩み

難聴の程度や状況は人それぞれですが、多くの方が共通して抱える悩みがあります。まずはそれらを理解することから始めましょう。
騒がしい環境での会話の困難さ
レストランやカフェ、駅や商業施設など、背景に騒音がある場所では、補聴器を使用していても会話を聞き取ることが非常に困難です。周囲の雑音と話し声が混ざり合い、何を言っているのか理解できないことがよくあります。
「先日、友人と久しぶりに会って食事をしたのですが、店内が混んでいて、相手の声が周りの音に埋もれてしまい、ほとんど会話を楽しめませんでした」とご相談いただくことがよくあります。
複数人での会話についていけない
家族の団らんや友人との集まり、会議など複数の人が同時に話す状況では、誰が話しているのかを把握するのが難しく、会話の流れについていけないことがあります。話者が次々と変わると、その都度、声の方向を特定して聞き取る必要があり、疲労感も増してしまうんです。
離れた場所からの音声が聞こえない
講演会や授業、大きな会議室での会話など、話し手との距離が離れている場合、音が減衰して聞こえにくくなります。補聴器だけでは、この距離の問題を完全に解決することは難しいのです。
聞き取りの疲労感
難聴の方は、聞こえる音から言葉を理解するために、健聴者よりもはるかに多くの脳のエネルギーを使います。これを「聴取努力」と呼びますが、この継続的な努力から疲労を引き起こし日常生活の質を低下させる、ということも。
社会的孤立感
上記の困難が積み重なると、コミュニケーションを避けるようになり、社会的な活動への参加が減少することがあります。これが長期間続くと、孤立感や自尊心の低下につながることも少なくありません。
「以前は積極的に参加していた地域の集まりも、聞き取れないことが多くて、最近は足が遠のいています」という方もいらっしゃいます。
フォナック・ロジャー3シリーズとは?

これらの悩みを解決するために開発されたのが、フォナックの補聴援助システム「ロジャー」です。2024年に新たに発売されたロジャー3シリーズは、前モデルからさらに進化し、使いやすさが向上しています。
ロジャーシステムは送信機(ロジャーマイクロホン)と受信機から構成されており、送信機が集めた音声を受信機を通じて補聴器に直接届け、騒音下や離れた場所でのことばの聞き取りを改善する仕組みとなっています。
ロジャー3シリーズの主な特徴
ロジャー アンリミテッド機能
ロジャーダイレクト機能を搭載の補聴器に、受信機機能を簡単かつ無制限にセットアップすることが可能になりました
マルチビームテクノロジー(ロジャー セレクト3、ロジャー テーブル マイク3)
複数のマイクロホンを使用し、6方向にビームを生成して360°全方向からのことばに対応。6方向すべてのSN比(信号対雑音比)が計算され、最も明瞭度の高いビームが自動的に選択されるため、話し手から話し手へとシームレスに切り替わります。
様々な使用モード
卓上モード、セレクトモード、クリップで留める首かけモードなど、状況に応じた最適な使用方法を選べます。
マルチメディア接続
付属のドッキングステーションやケーブルに接続するだけで、テレビ、音楽プレーヤー、コンピューター、ゲームシステムなど様々な機器から音をストリーミングできます。
ロジャー3シリーズの種類と特徴
フォナック・ロジャー3シリーズには、使用シーンに合わせて選べる様々なモデルがあります。それぞれのモード設定についてもご紹介しますね。
ロジャー オン 3

ロジャー オン 3は、持ち運びに便利なワイヤレスマイクで、様々なシーンで活躍します。特に、移動が多い場面や、一対一の会話に適しています。
- 卓上モード
テーブルの上に置くと自動的に切り替わり、周囲の複数話者の声を集音 - インタビューモード
本体を手に持ち、話し手に向けることで、その方向の声を集中的に集音 - ワイドインタビューモード
従来より広い範囲を3次元的に集音でき、複数人が前方で話す場面や講演会などで活躍 - プレゼンターモード
衣服にクリップで装着し、話者の声を優先的に集音
ロジャー セレクト 3

ロジャー セレクト 3は、卓上マイクとして使用するのがおすすめのロジャー製品です。360度全方向のマイクロホンを搭載しており、どの方向から話しかけても自動的に相手を選択できるたしてくれるので、友人との食事や家族団らんに理想的ですね。
- 卓上モード
テーブルの上に置くと自動的に切り替わり、360度全方向から話者の声を自動で集音 - セレクトモード
聞きたい方向のセレクトキーをタップすることで、特定の話者の声だけを集中的に集音。複数の方向を同時に選択可能。 - 首かけモード
ストラップで首から下げて使用すると、装着者の声を優先的に集音。1対1の会話やプレゼンテーションなどに最適。
ロジャー テーブルマイク 3

ロジャー テーブルマイク 3は、広い会議室での使用に適したモデルです。テーブルの中央に置くことで、会議参加者全員の声をクリアに捉えます。
- 広域集音
テーブル全体の声を集音 - 狭域集音
周囲の雑音が気になる場合に集音範囲を狭めて特定の範囲の声を強調
ロジャー タッチスクリーン マイク 3

ロジャー タッチスクリーン マイク 3は、教育現場で定番のワイヤレスマイクです。タッチスクリーンで直感的に操作でき、教室での授業や講演会などに最適です。
- 小グループモード
机上に置くと自動的に切り替わり、周囲の複数話者の声を集音 - インタビューモード
本体を手に持ち、話者に向けることで、その方向の声を集中的に集音 - 首かけモード
ストラップで首から下げて使用すると、装着者の声を優先的に集音
難聴者の悩み別ロジャー3活用例
それでは、先ほど挙げた5つの悩みに対して、ロジャー3シリーズをどのように活用できるか、具体的な例を見ていきましょう。
騒がしい環境での会話の改善例
ケース:レストランでの友人との食事会
問題点
店内の騒音(BGM、他のお客さんの会話、食器の音など)で友人の声が聞き取りにくい
解決策
ロジャー セレクト 3をテーブルの中央に置き、セレクトモードで使用
効果
話している人の声を捉え、背景騒音を低減しながら、クリアな音声を補聴器に直接送信。これにより、騒がしい環境でも会話を楽しむことができます。
複数人での会話をスムーズにする例
ケース:家族の団らん
問題点
家族が次々と話し、誰が話しているのか把握できず、会話についていけない
解決策
ロジャー セレクト 3をリビングテーブルの中央に置き、卓上モードで使用
効果
6方向のビームが自動的に話している人を検出し、その声を補聴器に送信。話し手が変わっても自動的に切り替わるため、会話の流れをスムーズに追うことができます。
離れた場所からの音声を聞き取る例
ケース:講演会や講義
問題点
話し手との距離が離れているため、声が小さく聞こえる
解決策
ロジャー オン3または、ロジャー タッチスクリーン マイク3を講師に渡し、首から下げてもらうか、ポケットに入れてもらう
効果
講師の声を直接捉え、クリアな音声を補聴器に送信。距離による音の減衰の問題が解消され、後方の席からでも講演内容をしっかり聞き取ることができますよ。
聴取努力による疲労を軽減する例
ケース:職場での長時間の会議
問題点
聞き取りに集中するため、会議の終わりには疲労困憊になる
解決策
ロジャー テーブルマイク 3を会議テーブルの中央に設置
効果
会議参加者全員の声をクリアに捉え、補聴器に送信。聴取努力が軽減され、会議の内容に集中できるようになりますね。
社会的孤立感を解消する例
ケース:地域のサークル活動
問題点
聞き取りの困難さから参加をためらい、社会的に孤立しがちになる
解決策
ロジャー オン 3を活用し、話している人の近くに置くか、話し手に身につけてもらう
効果
クリアな音声が聞こえることで会話への参加が容易になり、活動を楽しめるようになります。これにより、社会的つながりが回復し、孤立感が解消されます。
難聴者とのコミュニケーションを円滑にするためのポイント
ロジャー3シリーズのような補聴援助システムは非常に効果的ですが、周囲の方々の理解と協力も重要です。ここでは、難聴者とのコミュニケーションを円滑にするためのポイントをご紹介します。
どのような方法でコミュニケーションを取るのが良いか本人に尋ねる
ひとことで難聴といっても、難聴の程度や聞こえにくさの状況は様々です。そのため、聞こえづらい・聞こえにくいことが分かっている場合には、どのようなコミュニケーション方法をとるのが一番スムーズかを本人に尋ねてみるのが良いでしょう。
ゆっくり話すことで聞き取りやすい人もいれば、全て筆談が良いという人もいます。相手によって柔軟にコミュニケーション方法を変えることが大切です。
ゆっくり、はっきり話す
難聴者にとって、早口はとても聞き取りにくいものです。少ない音の情報を元に聞き取りを行うため音の理解に時間がかかります。そのため、ゆっくりとはっきり話すことで、難聴者の方が音声を処理し、内容を理解する時間を確保することができます。
ただし、必要以上にゆっくり話すと不自然に聞こえる場合があるので、相手の反応を見ながら適切なペースを見つけることが大切です。
顔を見せて話す
多くの難聴者は、無意識のうちに話し手の口の動きや表情を読み取ることで、聞こえた音声を補完しています。そのため、顔を見せて話すことで、より正確に内容を伝えることができます。
マスクの着用が必要な場面では、透明マスクを使用するなどの工夫も効果的です。
騒音の少ない環境を選ぶ
可能であれば、騒音の少ない環境でコミュニケーションを取ることが望ましいです。レストランでの会話であれば、BGMの音量を下げてもらったり、比較的静かな席を選んだりするなどの配慮が有効です。
文字情報を活用する
重要な情報を伝える際は、口頭だけでなく、メモやメール、チャットなどの文字情報も併用すると良いでしょう。とくに日時や固有名詞などは、誤解を避けるためにも、文字で確認することをおすすめします。
グループでの会話での配慮
複数人での会話のさいは、一人ずつ順番に話すよう心がけましょう。同時に複数の人が話すと、難聴者にとっては誰の声を聞けば良いのか判断が難しくなります。
また、話者が変わるさいには、誰が話し始めたのかを明確にすることで、難聴者が会話の流れを追いやすくなります。
繰り返しや言い換えを躊躇しない
聞き取れなかった場合、難聴者の方から「もう一度お願いします」と言われることがあります。その際は、同じ言葉を繰り返すだけでなく、別の言い方で説明してみるのも効果的です。
補聴援助システムの使用に協力する
ロジャー3シリーズなどの補聴援助システムを使用している場合、その効果を最大限に発揮するためには周囲の協力が不可欠です。たとえば、ロジャー オン 3を使用するさいに、適切な位置に置いてもらうなど、積極的に協力することが大切です。
フォナック・ロジャー3の導入と活用のステップ

フォナック・ロジャー3シリーズの導入を検討されている方に向けて、具体的な導入の流れと活用のステップをご紹介します。
フォナック補聴器、ロジャー製品の取り扱いがある補聴器店で、ご相談ください。お使いの補聴器もご持参くださいね。
まずは店舗で試聴してみてください。ロジャーを使ったとき、使っていないときの聞こえを比べたり、ロジャーのモードも切替えて試してみるといいですね。
当店では、補聴器だけでなく、ロジャー製品のレンタルもおこなっています。2週間無料でお貸出していますので、実際の生活の中で効果を試してみてください。
試聴やレンタルをしていただき、聞こえに納得いただいてからご購入の手続きを進めていきます。※お渡しまで1~3日、納期がかかります。

まとめ:フォナック・ロジャー3で広がる可能性

ロジャー3の導入により、難聴者の方々のコミュニケーションの質が向上し、日常生活や社会活動への積極的な参加が可能になります。これは単に「聞こえる」という機能面の改善だけでなく、聞こえへの安心感の向上にもつながります。
しかし、技術的なサポートだけでなく、周囲の理解と協力も重要です。難聴者とのコミュニケーションを円滑にするためのポイントを意識し、社会全体で支え合う環境づくりが求められます。
フォナック・ロジャー3は、難聴者の方々の生活に新たな可能性をもたらす製品です。聞こえの悩みを抱えている方、またはそのご家族の方は、ぜひ一度、補聴器専門店に相談してみてください。きっと、新しい世界が広がるはずです。
私たち秋葉原補聴器リスニングラボは、お客さま一人ひとりに寄り添い、最適な聞こえのソリューションを提供いたします。フォナック・ロジャー3についてもっと詳しく知りたい方、実際に体験してみたい方は、お気軽にお問い合わせください。みなさまの快適な聞こえと、より豊かな生活のお手伝いをさせていただきます。