クロス補聴器の効果は値段で違いがあります。値段の高価な機種だと、自分の好みの音にしやすくなることや会話の強調機能を使えること、様々な雑音を抑える機能の向上があります。
しかし高価な機種を必要とするかは、しっかりと自分の使用環境を考慮していくことが大切です。今回は補聴器の値段ごとの機能の違いと適切な選び方を紹介していきます。
クロス補聴器とは
片耳のみ重い難聴を持っている方に向けた補聴器のフィッティング方法です。
ムンプス難聴や、突発性難聴などの片耳のみ高度以上の難聴を持っていたり、片耳だけ全く聞こえないという人や、片耳は軽中度難聴だが、反対耳は重度難聴などのパターンの際に使用します。
聞こえる耳には補聴器を装着し、聞こえない耳にはクロス送信機を装着します。
難聴側の音をクロス送信機のマイクで集音して、電波で健聴側につけた補聴器に送信して再生できるようになっています。
聞こえる耳で、聴こえない耳をカバーしようという考え方ですね。
クロス補聴器についての詳し記事はこちらから→片耳難聴(一側聾)に効果のある補聴器 クロス補聴器の機能や種類そして値段について。
クロス補聴器を取り扱うメーカーは4社
クロス補聴器のメーカーで積極的に展開できているメーカーは「フォナック」「ワイデックス」「シグニア」「スターキー」の4社になります。
この4つのメーカーは無線方式のクロス補聴器を用いています。その中でも機能面に優れ、扱いやすく音質にも定評のあるフォナックのクロス補聴器に関して説明していきます。
クロス補聴器の値段の違いでどのような違いがあるの?
補聴器は高価なものではありますが、大体どのメーカーも最も値段の安い機種は5万円ほどで、高価なものは50万円までと値段の設定が幅広くあるんです。
今回はフォナックを例にとって紹介いたします。クロス補聴器に対応している補聴器の価格帯は15万円~45万円です。これにクロス送信機の10万円前後が追加されます。
補聴器側の性能によっては性能や機能が異なるため聞こえ方の違いにつながります。
クロス送信機は本体の価格によって変化はありませんので、形状の違いを選択するのみですね。
補聴器の値段の違いはこのような理由が考えられます。
- チャンネル数
- 会話を強調する機能
- 補聴器を快適に使える機能
この3つが補聴器の値段に反映され、値段の高い補聴器はより騒がしい場所での会話の聞き取りに対応しているため、会話が聞き取りやすくなるんです。
チャンネル数
チャンネル数は、多ければ多いほど音の調整できる範囲が大きくなります。
チャンネルが多ければ複雑な聴力でも合わせやすくなり、必要でない雑音を抑えやすくなります。
クロス補聴器の場合は、音質の調整が細かにやりやすくなるのが一番のメリットですね。
雑音抑制機能は低域の損失をしやすいので、必要でない雑音が多い帯域はチャンネルでの処理で最初から抑えておくことが扱いやすい補聴器にするコツでもあり、クロス補聴器の場合は、チャンネル自体が音響機器的な使い方が主になりますので、好みの音に調整するのにチャンネルが多いほうが融通の利くように操作しやすいです。
くっきりはっきりさせたり、どっしりとした太い音にしたりそういった音のバランスの違いもクロス補聴器では大切で、より音質を気にする人は、チャンネル数の多いモデルでもいいでしょう。
会話を強調する機能
会話を強調する機能は、3つの機能が関連しています。以下のような機能ですね。
- 雑音抑制機能
- ズーム指向性(アドバンスドクラス以上でより強力に)
- 両耳間通信機能(スタンダードクラスから)
この3つを使ってクロス補聴器の場合は会話を強調し、認識しやすくしています。
まず「雑音抑制」について値段の高価な補聴器であるほどチャンネル数が増えるのも関係して、周りの雑音を効果的に減らすことができます。
雑音抑制機能の弱点である、低域など特定の帯域における言葉の音量の損失が少なくなる為、雑音下では高価なモデルのほうが聞こえやすいという特徴があります。
ただクロス補聴器の場合は状況によって穴の開いた耳栓を利用しますので、雑音抑制機能のバランスが難しくなるので、上位下位の機種でしっかりと聞き比べて検討したいところですね。
続いて「ズーム指向性について」値段の高価なモデルになるとマイクが2つ以上ついているモデルは指向性が利用できて、ズーム指向性は目の前に人がいて会話するときに前方の音声を優先してくれる機能です。スタンダードクラスから搭載されている機能ですが、アドバンスクラス以上であればより強力なステレオズームが使用可能になります。
最後の「両耳間通信機能」については、全部で4つのマイクが集音した音を相互に情報補完することで聴こえの明瞭度を向上させる機能です。
聞き逃しによる言葉の欠けを補完する機能ですので、片耳難聴への効果は比較的期待できます。スタンダードクラス以上の補聴器で使用可能な機能です。
会話強調に使用される機能がスタンダードクラスからになりますので、価格安く会話強調機能を使用する場合はスタンダードクラスを選ぶのがいいでしょう。
補聴器を快適に使用できる機能
補聴器自体を快適にかけていられる機能というのも意外と日常生活では重視される機能です。
片耳難聴の多くの場合は、片耳で音を聞き分けなくてはいけないために集中力の消耗が激しい傾向にあります。
クロス補聴器を付けて気になるようになるのは、紙をめくる音や、水を流した時の音などの突発的に発生した大きな雑音です。高価な機種になるとこういった雑音が発生した時だけ瞬時に抑えられて快適にしてくれます。
他にも、風切り音や、音楽、車の中での騒音など、特殊な環境下での雑音を会話中は抑えてくれたり、適切な音質で聞こえるようにしてくれたりします。
こういった雑音を抑えてあげて快適に使えるようにすることで、聞き取りの際に集中する力をお使わず簡単に聞き取れるようにできて、集中力の消費や疲労の具合が減る傾向にあります。
補聴器を快適に使用できる機能はなくても十分聞き取りに効果があると思いますが、環境音が騒がしいと感じたら、快適性を向上させる機能を着けてあげるといいですね。
高価なモデルが必要かは使用する環境と使い勝手で判断しよう
クロス補聴器の場合は片耳が聞こえる状態できこえの補助する使い方をするので、紹介した3つの機能で見ると重要になる場合でも効能が薄い可能性が在ります。
最も高価なモデルを必要とする場合は、「騒がしい場所での会話が非常に多い」、「屋外での活動が多い」ということですね。会話の邪魔になる雑音下での会話を重視している方には必要になると思います。
「比較的静かなオフィス」「家の中」など使用する環境が静かになるほど、雑音が減り会話音が大きくなる傾向にあるので高価なモデルに搭載された機能の必要性がなくなっていきます。
このように必要な機能を考慮しつつ、実際に使う環境に合ったクロス補聴器を購入することが多いですね。
値段と機能の早見表と目的別の機種選択について
エントリークラスでは、チャンネルは8チャンネル 雑音抑制機能が付きますが、必要最低限の機能に絞られています。比較的静かな場所での会話が得意ですから、「自宅」「比較的静かなオフィス」などで使用するのに向いています。雑音化での会話もそれなりに対応できますが、雑音が大きいところでは聞こえづらい可能性があります。
スタンダードクラスではチャンネル数が12チャンネルになり、低い雑音が入っている状態での会話が入門クラスより有利になります。合わせて刺激的に感じやすい音を抑えながら言葉のニュアンスが消えないように調整できるようになります。両耳間通信機能が付きますので騒がしいところでの会話も比較的スムーズになります。
仕事場での会話を優先する場合はこのモデルから選択することがオススメです。
アドバンスドクラスでは、16チャンネルとスタンダードクラスの機能に追加して会話強調機能と、突発音抑制機能が搭載されています。特にオフィスでも複合機の音や、パソコンのタイプ音、紙などの資料を多く処理する場合などの突発音が抑えやすく、ストレスが減ります。機械音などの特定の周波数で鳴り続ける騒音が多い場所での使用も、出力時に調整できる帯域が細かいため周波数カットでの対応がしやすくなります。好みの音に合わせやすいこともあるので、「工場」「銀行」などの比較的特定の雑音が多い環境下での聞き取りがしやすいと考えられます。
プレミアムクラスの場合は、全機能が搭載されているため、そのどのような方でも機能的にお使いいただけます。基本的には騒がしい場所での会話、屋外での会話、会食などの大人数がいる状況での会話など騒音が多い環境での使用を考慮しています。車の運転をしている最中にきこえる走行音もカットしたうえで会話音を強調してくれます。「屋外で会話を頻繁にする仕事」「乗り物内で頻繁に使用する場合」に対応しやすくなります。
このように雑音が多くなる、継続的な騒音があるような場合は上位機種を選択することがオススメです。
まとめ
クロス補聴器も値段での違いがありますが、基本的にはスタンダードクラスやエントリークラスから試していただいて、使用する環境に合わせて機種を選択していくといいでしょう。
騒がしいところほど高級なモデルのほうが使い勝手よくなりますしかし、すぐ良く聞こえるというのを確約するわけではありません。
クロス補聴器は構造上、聴こえている耳で音を聞き分ける訓練が必要です。しかし購入後もしっかり使えるようにサポートしていきますので、安心してください。
リスニングラボでは片耳難聴専用の補聴器「クロス補聴器」を得意としています。実際に多くの片耳難聴の方にクロス補聴器を試して購入していただいています。
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