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補聴器を使ってきこえを取り戻すために理解するべき2つのこと

年を取ってきこえが悪くなったと感じて補聴器を購入したが、うるさくてうまく聴こえない。細々と調整してもらってもうまく聞こえないこういった悩みはあるものです。
あなたが聞こえない理由はもしかするとこの2つのことを理解するだけで解決するかもしれません。

  • 補聴器は着けてから聴こえのリハビリが必要である
  • 補聴器を着けていてうるさいと思う音にも会話に必要な音の成分が含まれている

端的に書きましたが、個々の部分を理解して、アフターケアの調整をしていく必要があります。
さてどういう理由でこの二つを理解する必要があるのか。説明してまいります。

補聴器を着けてすぐ効果の出る人と出ない人には何の差があるのか。

「孫の声があまり聞こえなかったんだけど、補聴器を買ったら効果があったわ。あそこの補聴器やさんで買ったんだけどね~」

そんな話を聞いて補聴器を購入したあなた、しかし思っている以上にうるさいだけで声はうまく聴こえないことが多い。
果たしてなぜこのような差が出るのでしょうか。

関係しているのは2つのことです。

  • そもそも補聴器をしても効果が出ずらい聴力だった
  • 補聴器を使って効果の出る体にまだなっていない

この二つのことが考えられます。
さて一体どうゆうことなんでしょうか。

そもそも補聴器をしても効果が出ずらい聴力とは

補聴器を使用しても効果が出ずらいという方もいます。
語音聴力測定という測定の中でも語音明瞭度測定(言葉の聞き取りの力の測定)というものがあります。
その数値は補聴器を使用した際に、最も効果の出る状態の目安となります。
跡えば結果が、普通の声の音量(65dB)で65% 小さな声(50dB)では50% 少し大きめの声(80dB)で80%の回答率だったとします。
明瞭度80%が最大の数値の場合はこれ以上は上がることは基本的にありませんが、常に80%近い音で聞かせるようにできるよう補聴器を調整していきます。
そうすると大きな声で80%の理解率の状態から、普通の声や、少しちいさめの声でも80%程度のことばを聞き取ることができるようになります。
これの結果が最大の状態でも40%を下回ると、一般的に補聴器をしても効果が非常に低くなります。(本人の改善感覚なのでこれの限りではありません。)
純音聴力測定(ピーピープープーという音をきく測定)は40dBくらいの中度の結果でも、語音明瞭度が40%以下の場合、言葉が耳に入ってきて音としては聞こえても、言葉としては理解できないという結果になります。
これに合ってはまっている場合補聴器の効果はあまり出ない可能性がありので、測定の結果はしっかりと見ておきましょう。
効果が出ずらいといっても無駄ということはありません。前よりも聞こえやすいということがあれば補聴器を装用するのが良いでしょう。

補聴器を使って効果の出る体になっていない

耳の聞こえが悪くなってからわかることの多い加齢性難聴の場合、長い時間をかけて耳が悪くなって本来の音が脳に届けられなくなって行きますから、音がうまく聴こえないまま年を重ねると音に反応できない脳に変わっていっています。
音が聞こえない状態は、脳が休んでしまいやすい状態なので、補聴器で小さくて聴こえなかった音を大きな音を出しても脳がうまく機能できずに声と雑音の区別ができません。この状態ですと補聴器を着けてもいてもうまく聴こえないということが起こります。
他にも音量感に敏感になっていくので、突然の大きな音が苦手になったり、言葉の聞き間違いが増えてしまったりします。

以上のことがあってすぐに補聴器を使って効果の出る人、出ない人に分かれます。
語音最高明瞭度が40%以下の場合は 着けていて楽に聴こえる実感があれば使い続けていただき聴こえのリハビリを進めていくのがいいでしょうし、語音明瞭度の結果が40%以上の人は補聴器がより効果的に使えるように音を受け入れられる脳に戻さなくてはなりません。

耳にもリハビリが必要

先に挙げたように補聴器をつけてもうるさいだけと感じている人の中には、脳のリハビリを行ってく必要がある方が多いのです。
例えば指を骨折した後に自由に動かせるようになるまで、リハビリが必要なように、耳もうまく使えていなかった期間がある分リハビリを行う必要があります。
年齢を重ねても脳は変化させることが可能です。
年齢を重ねてから編み物を初めていつの間にか名人のようになったり、将棋や、囲碁などもいくつになってもやる気を持って始めると脳は覚えていきますし、鍛錬するといろいろな手法を編み出します。
脳はいくつになっても変われますから、諦めずに努力してくことで、聴こえもある一定まで取り戻せます。

大事なステップはこちらです

  1. 補聴器の音量は、本当に必要な音の70%~80%で設定してもらう
  2. 最初の一週間は段階的に装着時間を長くする(30分、1時間、2時間)もし苦痛でなければ一日使用する
  3. 一日つけ続けられるようになったら、そのままいろいろなところに装着したまま出掛けたりしながら一週間生活する。
  4. うるさくない程度に音量を調整してもらい、また日常で試す(最大10%程度が目安)
  5. 一週間試し、うるさく感じなくなったら、音量を上げる
  6. 装用してうるさくなかったら、音を上げるを繰り返して本来必要とされる音量をめざす

大体一か月程度で補聴器の音に慣れ始め、個人差はありますが三か月後には補聴器の聞こえにほぼ慣れています。
この期間中に音の大きさに慣れていくだけでなく、騒音と言葉の聞き分けの訓練も兼ねています。
今まで聴こえなかった音が聞こえるということは必要でない音も聞こえるということです。
しかしこれは人間本来持つ言葉と雑音を聞き分ける力が発揮されれば問題ありません。

リハビリをしていくうちで一番大事なことはあきらめないでできる限り使い続けるということです。
途中であきらめてしまうと一生変わりません。少し長い期間になりますが、補聴器を着けてどのようになりたいかを考えながら頑張りましょう。
この装用訓練の期間に、ニュースなどの聞き取りを意識的に行うなどするとより効果が出やすくなります。

生活音がうるさいからといって特定の音を抑えすぎない

補聴器を着けているときにやりがちなこととして、新聞紙をめくった音がうるさい、流しの音がうるさいから刺激的に聞こえないように音を下げてくれということをお願いすることがあります。
もちろんうるさい音というのはありますし、不快に感じてしまうことが多いのですが、この音を抑えてしまうと声は聞こえづらくなってしまいます。

例えば紙のくしゃくしゃとしたを刺激的と感じて調整して抑えたとしましょう。
こうするとこのようなことが起こります。

  1. 紙のくしゃくしゃした音がうるさい
  2. 高音域が影響しているので大きく下げる
  3. 高音域が下がると声の明瞭さが失われてしまい、結果言葉が聞こえづらくなる

紙のクシャクシャとした音、キンキンすると感じる音は声の明瞭度に影響がでます。
逆に低いブーブーとした音、エアコンの室外機などで感じる音になりますが、そういった音を抑えると音のパワーが低くなりか細い音になってしまいます。
生活音がうるさいと感じてそれぞれの音量を下げすぎてしまうとか細くなったり、もこもこはっきりしなかったり、両方下がっている状態だと声は鼻つまんだときのようなか細くてはっきりしない声として聞こえます。
こうなってしまうと音量を大きくしてもはっきり聞こえないし、うるさいだけの補聴器になってしまいます。

環境音を多く含む特定の刺激音、雑音を抑えようと音を下げすぎてしまうと言葉の聞こえの面で効果がでないということを理解しておくことが必要です。

普段行っていることで不快感を覚えたり、ストレスを感じてしまっても仕方がありませんからその時は全体の音量を下げてもらって、慣らしをまた行います。

生活音や雑音を抑えながら、聴こえを保持する方法

騒がしさときこえを両立するのは難しいと考えられる方も多いと思います。
調整次第で緩和することも可能ですし、そもそもの体の仕組みを使うことで雑音を抑えたりしながらきこえを保持します。

  1. 聞こえのリハビリをしっかり行う
  2. 両耳で補聴器を使用する(両耳難聴の場合は特に)
  3. キンキンした高い音、ボーボーした低い音は理想より5dBくらいまで下げる
  4. できれば突発音を抑える機能、雑音抑制のある補聴器を使う
リハビリをしっかり行う

まず大前提になるのは補聴器を着けてのリハビリがある程度できていることです。
ある程度の期間が経ち慣れていると、大きな音が入ってきたときに耐性ができています。
少し前のことを思い出してください。例えば電車などの騒がしいと思うところにいても一定時間たつと音が気にならなくなりませんでしたか?
これは脳が音の選別をしてくれて、脳が周りの環境に適応してくれているということです。これは補聴器を使っていても脳は調節してくれます。
これができないうちはいつまでたってもうるさいだけです。まずリハビリをしっかり行うことから始めましょう。

両耳で補聴器を使用する

もし両耳ともある程度の難聴だった場合には両耳とも補聴器をそろえておくのがいいです。
それには理由があって、

  • 両耳の雑音抑制能力を使う
    人は両耳で聞くことで無意識的に聴きたい音声の情報を優先し、雑音を抑えることができます。これを両耳スケルチと呼びます。
    この体の機能を使うために両耳で補聴器を使います。両耳難聴で片耳だけ補聴器を使うと左右の音の差が出てしまってこの能力はうまく発揮されづらいです。
  • 左右の耳で情報を補完してる
    右側から声を掛けられた時には、実は右側の耳では約85%の音の情報を、左側では15%の音の情報を受けとり、頭の中で100%の情報として受け取っています。これは逆になっても一緒です。
    左右で着けることで音の明瞭度が上がりますから両耳でつけるのがいいとされています。

以上のことがあって両耳で補聴器を使用します。身体の機能をしっかり使うのが目的となります。

キンキンした高い音、ボーボーした低い音を理想の状態より5dBくらい下げる

ファーストフィットから何度か調整し、装用検査をして難聴の程度から半分くらいの音(60dBの難聴なら30dBが聞こえ始める状態)で、どの周波数でも同じ音量で聴こえる状態が理想の音とされますが、どうしても声のきこえを優先すると、雑音が強く感じられやすいです。
8バンドの周波数特性がいじれる一番安いモデルでも170Hzあたりの低い音も、4Khzあたりの高い音もいじれるようになっています。
この低い音、高い音を理想的な音から5dBほど抑えて上げるだけでも雑音の感覚は緩和されやすいです。
個人差はありますから、また別途で調整することもありますが、補聴器のリハビリが終わっているとこの方法は効果が出やすいようです。

できれば突発的な音を抑える機能、雑音抑制のある補聴器を買う

最近の補聴器のほとんどの機種で雑音抑制という機能がついています。継続的、断続的に流れる雑音を抑制して快適にしたり、騒音の中での言葉の聞こえを安定させたりします。補聴器でやってくれるので、リハビリがまだ途中の場合でも快適に使うことができます。しかし抑制を深くかけすぎると声の部分にも影響がでます。

実は補聴器のグレードによっては突発的な雑音を抑えてくれるモデルもあります。
紙のくしゃくしゃという音や、食器を洗うカチャカチャした音は突発的な雑音なので、継続的、断続的な雑音を抑える雑音抑制では抑えきれないことがしばしばあります。
こういった日々のちょっとしたストレスが、少し上位のモデルを選択することで、解決することがあります。

以上のことが雑音を抑えて、きこえを保持する方法です。
正直一番はリハビリをして自分の耳と脳で、雑音を切り分けれるようになるのがベストです。
そして補助として補聴器の装用の仕方や調整、機能などを利用することがより良くしてく方法です。

雑音、突発に強い補聴器でおすすめするもの

フォナック おすすめはV70、B70などのアドバンスドクラス。ベンチャー、ビロングシリーズが聞こえやすい
フォナックは自動環境認識の機能がついており、7秒に一度環境認識して周りの環境音に適した音を自動で設定してくれます。
例えば静かなところと、騒がしいところでは、周りの雑音の量や必要と感じる音量が違いますよね?
フォナックの補聴器はそれを自動で認識して設定してくれるのです。耳に入れるだけで勝手にやってくれるので、非常に便利です。
併せて高い音が聞こえにくい場合、高い音を圧縮して聴こえる音にしてくれます。カ行タ行サ行ハ行のような非常に高い音は瞬間的に音を変換して聞こえる聴力のところに移動します。他の補聴器メーカーと違うところは、ア行の母音の音を損ねづらいところです。
ハウリングなどもしづらいので、大きめの音量にしてもハウリングが起こりづらいのも特徴です。
アドバンスドクラス以上(V70,B70以上)のモデルからは

  • 紙、トイレの水を流した時の音などの突発音を抑えられる機能
  • 両耳で使う場合はステレオズームという前方からの声を優先してより声を聞こえやすくする機能
  • 360度どこにいても音をキャッチでき、車の中やカルチャー教室などでつかいやすいモード

以上がついて汎用性が増えて使いやすい補聴器になります。

シーメンス お勧めはスタンダード3以上のモデル プライマックスシリーズが聞きやすい
シーメンスの補聴器はプロセッサのチャンネル数が多く、調整でいじれる部分が非常に多く。事細かに音の調整が行えるのが特徴です。
音にこだわりのある方、細かく指定したい方はシーメンスの補聴器を選ぶのがいいでしょう。
プライマックスシリーズは会話強調機能というのが搭載されており、両耳で補聴器を使用すると、前方ので話している人の声を明瞭に聞き取れる機能がついており、さらに紙の音や、トイレを流した時の音など突発音を抑える機能がついております。

なお聴力に対する補聴器の形状選択の目安は
難聴の度合いが中等度くらいまでで水平型の人には耳穴型、
難聴の度合いは中等度くらいまで低い声が聴きやすく、高い音が聞こえづらい方はRIC型
難聴の度合いに関係なく使用しやすいのは標準型(重度を除く)
難聴の度合いが高度、重度の場合はハイパワー型を選択してみてください。 形状の違いに関しての詳しい記事について→補聴器の形状について
なお難聴の程度が目安を超える場合でも選べる場合がありますので、販売員に相談してみてください。

まとめ

補聴器を使ってきこえを取り戻していくためには補聴器に任せているだけではうまくいきません。
自らきこえを取り戻すために訓練しながら、時間をかけて補聴器を使いきこえを取り戻しましょう。

大事なことは諦めないこと、途中でやめてしまわないことです。

補聴器、きこえについての悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご来店でのご相談も大歓迎です。

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